■数奇な運命


先日、街をぶらぶらしておりましたら、ある時計店で懐かしいものを見つけました。


無理をして20代で初めて買った時計で、訳あって30代で手放したものの、数奇な運命を辿って私の元に戻ってきました。


今つけると少し若さを感じますが、私にとっては思い入れのある一本です。



■機械式時計


腕時計を手にしてから、機械式時計に俄然興味を持ち始めた今日この頃。


機械式時計の仕組みから歴史まで、敬愛する山田五郎氏の元、色々と調べています。



■独立時計師


大手ブランドのように、通常、時計は組織で作りますが、すべての工程をあえて個人で作るという奇特な方々がおられます。


それが、独立時計師です。


一切の妥協を許さないがために、年間の販売本数はわずか数本。



■ フィリップ・デュフォー


生ける伝説とされ、世界で最も尊敬される独立時計師、フィリップ・デュフォー。


優れた時計職人になるために必要な資質について、彼はこう答えています。



「まず少しおかしいこと。だが非常に忍耐強く自己犠牲的でなければならない。自らの語彙から『週末、休暇、引退』という語句を消し去らねばならない。」


「そして、好奇心旺盛でなければならない。時計職人というのは、おもちゃを分解したことのある子どもであることが多い。そう、私たちの職業には好奇心が必要なのだ。」



彼の作品は世に出ること自体が珍しく、オークションに出品されると世界的なニュースとなります。


落札価格は日本円にして億を超えますが、もはやお金を出せば買えるという代物ではないのです。



■引き算の美学


デュフォーの作品は全て、重要な箇所には黒磨き(極度の磨き)が施され、それ以外は面取りで表情をつけられています。


デュフォーの凄さは、この使い分けの判断と実行精度が人間技の限界にあることです。


作品はすなわち、「何を見せて何を引き算するか」という美意識の表明に他なりません。



■教育者として


私の教育観は、あくまで職人的です。


少しおかしく、忍耐強い自負はあり、知的好奇心はまだ失っていません。


あとは、「何を見せて何を引き算するか」。


現代最高峰の時計職人から、私は何を学ぶべきでしょうか。



C.O.D. Club 〜休暇は少し欲しいかも〜