■読点と主語

小さい子の書く文章は、だいたい読点(、)の位置がテキトウです。

また、省略すべきでない主語を省略してしまい、意味がよく分からなくなりがちです。


日本語では、「読点の位置にハッキリとした決まりがない」こと、「主語が省略される場合がある」ことの2点が原因と思います。

この辺りは感覚で行うしかありませんから、まだ日本語に不慣れな小さい子にとっては不利なわけです。


上の2点について、「これが正解」というつもりはないのですが、今日は、一つの考え方を書いていきます。



■読点の位置

単文

「お爺さんは、芝刈りに行く。」

 主語: お爺さんは
 述語: 芝刈りに行く

読点(、)は、主語の後に打つのが基本です。


複文

「お爺さんは芝刈りに行き、お婆さんは洗濯に行く。」

 主語1: お爺さんは
 述語1: 芝刈りに行く

 主語2: お婆さんは
 述語2: 洗濯に行く


2つの文が複合された場合、主語の後の読点(、)が省略されることがお分かりになるでしょうか。

かわりに、「主語1+述語1」と「主語2+述語2」の間に読点(、)を打つことで、文の構造を分かりやすくしているわけです。


(誤例)

「お爺さんは、芝刈りに行き、お婆さんは、洗濯に行く。」


このようにしてしまうと、読みにくくなりますよね。



■主語の省略

(正例)

「ぼくは、公園に行った。」

 主語: ぼくは
 述語: 公園に行った

「そして、太郎くんに会った。」

 主語: -
 述語: 会った


2つ目の文で、主語の省略が起きているのがお分かりになるでしょうか。

これでも十分に意味が通ります。

日本語では、「前文までで主語が明示されている」とき、主語の省略が可能なのです。


(誤例)

「ぼくは、公園に行った。」

「そして、太郎くんに会った。」

「『サッカーをしよう』と言ったので、嬉しかった。」


3つ目の文を読んだ途端、少し混乱しますよね。

「主語=ぼく」として読み進めてきたのに、「あれ?」と。

上のように主語の転換が起きる時、主語を省略することはできません。
 

(正例)

「ぼくは、公園に行った。」

「そして、太郎くんに会った。」

「太郎くんが『サッカーをしよう』と言ったので、ぼくは嬉しかった。」


このように、主語を明示する必要があります。



■習熟レベル

焦らずとも、年齢が上がるにつれて、日本語の上達レベルは自然に上がっていきます。

ただ、「上手い文章を書く子ども」が求められる筆記試験などでは、上のようなことを意識すると良いと思います。


ちなみに、日本語に対して私が上のような意識を持つようになったのは、英語を学んでからのことです。

英語に対する理解を深めたのは、ラテン語を学んだ後のことのように思います。

ごく私見ですが、特定言語への深い理解は、実は、外国語を学ぶことで促されるのではないかと思っています。




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