■典型的悩み
「子どもが図を描かない」
中学受験の中の人なら、必ず抱える悩みの一つです。
分かります。
うーん、うーんと悩み抜いた末、ドヤ顔で間違える子どもを前にした時の、お母さんの気持ち。
「ズ、ズ、図(式)を描きなさいっつったっぺっしょっ!」
お母さんの怒りは、思わず訛ってしまうほど。
さて、図を描かない理由をご存知でしょうか。
■頭を使え
「頭を使いなさい」
勉強を教わる時、必ずといって良いほど、こう言われます。
もちろん、頭を使うことは良いことで、使えば使うほど頭は良くなっていくと思います。
ただ、時間制限のあるテストなどでは、少し事情が違ってきます。
話す相手をよく見定めなければなりませんが、私はよく生徒にこう話します。
「頭を使ってはいけない」
こう話すと、皆、驚きます。
■頭を使わない
頭は無限に働いてくれると誤解されがちですが、知力は有限です。
したがって、時間制限のあるテストなどでは、力の配分が大切になってくるのです。
易しい問題に頭を使い果たし、本当に頭を使うべき難しい問題を前に、力が残っていない。
こういった事態は避けなければいけません。
テストの最後の方にある難問が解ける子は、超人ではありません。
頭を使うべきところと、使うべきでないところの、配分が上手いのです。
ちなみに、私は色々な子どもたちに、朝から晩まで問題を解かされ続けていますが、実はほとんど頭を使っていません。
簡単だからということではなくて、意図的に使わないようにしているのです。
私が考えるべきことは、もっと他にあるからです。
■手
「手は思考する」
この概念は様々な分野で存在しますが、勉強の先生である私の心には、非常にシンプルに響きます。
勉強は、「頭」と「手」を使って行うものです。
なるべく多くの仕事を手に任せ、ここぞという時がきたら、頭を使います。
そういった意味で、「図を描く」という行為は、手に仕事を任せ、頭を休めるということの典型的な行為です。
■終わりに
普段の勉強においては、私は「長考も良し」としています。
頭を鍛えて頭が良くなるのは、大いに結構。
1日眠れば、回復します。
一方、「いかに頭を使わずに問題を解くか」という訓練も、同時に必要です。
それはつまり、「手に考えさせる」ということに他なりません。
頭と手、2つの武器を持てば、学力は伸びていくでしょう。
一刀流が、二刀流に敵うはずがありません。
C.O.D. Club