■使役
I had Tom clean the room.
私はトムに部屋を掃除させた。
使役(しえき)動詞の使い方が分からないと質問を受けます。
使役とは、「〜させる」「〜してもらう」と訳される動詞です。
今日は、簡単な例文を挙げつつ、使役について解説していきます。
■make
She makes me happy.
彼女は私を幸せにする。
英語の大原則は、動作の主体(agent)と動作(action)の語順が崩れないことです。
She makes me happy.
『私が』『幸せ』
→me happy
『彼女が』『(そういう状況を)作った』
→She makes
この語順が崩れることは、ありません。
『誰が』『どうした』のかは、単語の並びを見れば分かるようになっていますから、英語とは非常に分かりやすい言語です。
使役といったって、何のことはなく。
結局のところ、『誰が』『どうした』というだけです。
■have
使役を表す単語の1つに have がありますが、これが出てきた途端、皆、混乱するようです。
I had Tom clean the room.
私はトムに部屋を掃除させた。
have の場合であっても、上で述べた語順の原則は崩れません。
『トムは』『掃除する』
→Tom clean
『私は』『(そういう状況を)持った』
→I had
あえて「使役」という難しい言葉を、使うまでもない気がします。
haveは本来、「そういう状況を持つ」という意味ですから。
■例文
I had the wall painted.
『壁は』『塗られた』
→the wall painted
『私は』『(そういう状況を)持った』
→I had
つまり、『私は壁を塗ってもらった』ということです。
I had my hair cut.
『髪は』『切られた』
→my hair cut
『私は』『(そういう状況を)持った』
→I had
つまり、『私は髪を切ってもらった』ということです。
I had him report.
『彼は』『報告した』
→him report
『私は』『(そういう状況を)持った』
→I had
つまり、『私は彼に報告させた』ということです。
■どう訳すか
一般に、「〜させた」と訳すか、「〜してもらった」と訳すかは文脈により変化するとされ、「強制」「依頼」など、様々な文法用語があてがわれています。
ただ、それはあくまで日本語の訳し方の話であって、英語では何の区別もありません。
同じhaveを使うのであれば、意味は同じはずです。
もちろん、文法上の分類を否定するわけではありません。
ただ、それは、「英語学」というよりは、「翻訳学」といったところでしょう。
■小難しい質問
I had my wallet stolen.
私は財布を盗まれた。
have + p.p.がありますから、現在完了っぽく、「盗まれてしまった」と訳すのが良いかと、小難しい質問を受けたことがあります。
正直に言って、好きにすれば良いと思います。
要は、盗まれたことさえ分かればそれで良いわけですから。
そんなことを考えるよりは、「次は盗まれないように」と気を付ける方が、有効な頭の使い方と思います。
C.O.D. Club 〜初詣はスリに用心〜