■子どもの遊び
最近の娘によると、保育園で替え歌が流行っているそうです。
「灯りをつけましょー ぼんぼりにー」
「灯りをつけなーい🤣、ぼんぼりじゃなーい🤣」
子どもがこんな感じの歌を歌って、ゲラゲラと笑っているのを見たことがありませんか。
何が楽しいんでしょうね。
今日は、「ない」について書いていきます。
■日本語の 「ない」
日本語の「ない」は、4種類に分類することができます。
(1)助動詞の「ない」…「○○ない」と否定を表す
(2)形容詞の「ない」…有るor無いの「無い」
(3)補助形容詞の「ない」…美しくないの「ない」
(4)形容詞の一部の「ない」…あどけないの「ない」
かっちり文法的に分類すると、何とも複雑ですね。
ただ、(1)〜(3)は、どれも否定の意味が含まれているという点で、同じグループと考えても良いのではないかと私は思います。
(1)私は、テニスをしない。(助動詞)
(2)ここに、鉛筆がない。(形容詞)
(3)この絵は、美しくない。(補助形容詞)
ざっくり言うと、どれも否定ですよね。
ここで、(4)の「形容詞の一部」の例を挙げます。
(4)彼は、意気地ない。
(4)彼女は、あどけない。
「意気地ない」の「ない」は、「意気地」が「ない」とすれば、否定と考えられます。
一方、「あどけない」の「ない」は、「あどけ」が「ない」とすると意味が不明です。
実は、「あどけない」の「ない」には、「とても幼い」という、「幼さ」を強める役割があります。
これを、強調の「ない」と言います。
ここまでの内容を整理すると、日本語の「ない」には、否定と強調の2種類があるということになります。
強調の「ない」は、あまり意識されませんから、いくつか例を挙げておきます。
切ない…(とても)悲しく寂しい様子
はしたない…(とても)下品である様子
せわしない…(とても)慌ただしい様子
これらは否定ではありません。
強調語です。
※ここからは、余談中の余談です。寛大な心で読んでいただければと思います。
■英語の否定形 'not'
実は、否定の「ない」という言葉は、江戸末期になってから日本語に現れたもので、割と最近の言葉です。
日本語の古語では、否定は「ず」「ぬ」などと表していました。※古文の授業で習いましたよね
ところで、英語で否定を表す接頭語に、di(ジ) n(ヌ)などがあります。
何となく日本語の古語と似ている気がするのは、ロマンとして心の内に留めておき、ここでは、英語における一般的な否定の形、not に触れたいと思います。
not(ノット)の語源は、nought(ノート) です。※naught とも
nought は「無価値」という意味で、nothing(無) の元になった言葉でもあります。
日本語で言うところの、「無い」と同じです。
本来、 nought には「神の創造物」という意味があり、特に「人間」を表していました。
元々英語圏では、「人間」=「無価値な存在」とすることで、超自然的な存在を崇めたという背景があるのだと思います。
ところで、日本の英語教育では、「〜すべき」を表す英語として、should ≒ ought to と習うと思います。
ought は少し古めかしい表現で、アメリカ英語よりイギリス英語で多く見られます。
あるいは、聖書で多用されます。
Now He was telling them a parable to show that at all times they ought to pray and not to lose heart,
(Luke 18:1)
(Luke 18:1)
いつも祈るべきであり、失望してはならないことを教えるために、イエスは彼らにたとえを話された。
(ルカの福音書 18章1節)
(ルカの福音書 18章1節)
Beloved, if God so loved us, we also ought to love one another.
(John 4:11)
愛する者たちよ。神がこのようにわたしたちを愛して下さったのであるから、わたしたちも互に愛し合うべきである。
(ヨハネの第一の手紙 4章1節)
語源をたどると、ought は本来、「主人」という意味です。
ought to を限りなく語源に忠実に直訳すれば、「ought(主人) to(の方へ)」となります。
ought …主人
nought …人間(無価値、主人ではない、not)
英語と日本語では、成立の背景が根本的に違います。
何となく、それを感じていただければ良いなと思います。
C.O.D. Club 〜私は無宗教です〜