■最近の記事
最近、話が趣味に寄りすぎているので、そろそろ軌道修正しようと思います。
先日の記事の中で、つぶ貝の美味しさは「黄金比的」であると表現しました。
また、感極まって、入試に出るなどと言ってしまいました。
さて、それは本当でしょうか。
今日は、世の中で何となく信じられていることについて書いていきます。
■黄金比(Golden ratio)
簡単に言うと、黄金比とは、約 1:1.618 のことです。
正確には、1: となります。
「黄金比っていうのは自然の中にたくさんあるんだよ!」
算数キッズはこう語ってくれます。
さて、それは本当でしょうか。
何かを学ぶのに素直さは必須ですが、多少は疑う気持ちが残っていると、なお良いと思います。
■自然界の黄金比
「自然界に現れる黄金比」の代表として、「オウムガイ」があります。
あまり言ってはいけないのかもしれませんが、「オウムガイ」の中に「黄金比」は存在しません。
オウムガイの螺旋(青) と 黄金比を元にした螺旋(赤)
青の線はオウムガイの螺旋、赤の線は黄金螺旋です。
明らかにズレているのが分かりますか。
2本の曲線を数式で表すと、次のようになります。※極座標(r, θ) a>0 とした概算
青色の式(オウムガイ) r = ae^0.1853θ
赤色の式(黄金螺旋) r = ae^0.3096θ
残念ながら、似つつも別物です。
このことは、オウムガイと黄金比が無関係である事を示してしまっています。
黄金比とは、極めて理想的な概念の産物であり、人工の産物なのです。
■人工の黄金比
「モナリザ」
「ミロのヴィーナス」
「パルテノン神殿」
…
これらは結局のところ、全て人工物です。
昔から人は、自然の中にある美しいものや複雑なものを、「単純化して解き明かす」という夢を追い続けてきました。
その軌跡を、いくつかご紹介します。
■五芒星
五芒星(5角形)の中には、たくさんの黄金比が現れます。
五芒星は、その不思議さから、国によって魔除けのシンボルとも、悪魔の象徴とも、様々な扱いを受けてきました。
自然の摂理を説明するという役割は、かつては主に宗教が担ったからです。
その時代、宗教と数学は不可分でした。
■現代的解釈
x5 = 1 という単純な 5次方程式を考えます。
- 解を求めるには、次のように計算します。
- (x − 1)(x4 + x3 + x2 + x + 1) = 0
- さらに解いていきます。
- (x − 1)(x2 + x + 1)(x2 + x + 1) = 0
- 不思議と、 という黄金数(1.618)が現れます。
- ■オイラーの等式
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- 次の簡素にして美しい数式は、小説や映画でも有名になりました。
- これを力を込めてコネコネすると、次のように変形できます。
- 驚くことに、これは正確に黄金数(1.618)を表しています。
- 不思議ですよね。
- ところで、黄金比の話をすると、何となく「5」がいっぱい出てくると思いませんか。
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- √5、五芒星、5次方程式、e^πi/5 …
- これ以上のお話は、またいつか書きたいと思います。
- ■本来のブログの趣旨
- 今日は勢い余って、オウムガイの黄金比を否定してしまいました。
- ただし、つぶ貝の肝の黄金比的な美味しさを否定することはできず、特に刺身で食べるとそれは、と。
- 黄金の経験(Gold experience)
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- 小難しい話をしてみたものの、けっきょく話が元に戻ってしまうのでした。
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- C.O.D. Club
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