■魔法の言葉

 


サイン(sin)・コサイン(cos)・タンジェント(tan)


 

この言葉をいつ使うのかと問われ、お笑い芸人の江頭2:50さんは、こう答えていました。

 

 

「困ったとき。」

 

 

もちろん正解です。

 

困ったときは、是非、上の言葉を口ずさんでみてください。

 


直角三角形が現れるはずです。



今日は珍しく、本格数学のお話です。(長文です)


たぶん教科書には載っていないと思います。




■直角三角形と辺(right angled triangle and sides)



斜辺(Hypotenuse)

直角三角形には、まず 斜辺があります。

 

Hypontenuse を語幹分解すると、upo(上に) ten(伸びる)となります。

 

どこから伸びているのかと言えば、地面です。



底辺(Adjacent)


下にある辺は地面のようなものです。


したがって、 底辺と言います。

 

Adjacent とは、ad(下の方へ) jacent(投げつけられた)という意味です。

 


隣辺(opposite)


残りの一片は、斜辺に対する 隣辺 と言います。


opposite とは、op(逆に)pos(置か)ite(れた)という意味です。




【この章のまとめ】


・斜辺 Hypontenuse  … 地面から上に伸びたもの

・隣辺 opposite … 斜辺の隣にあるもの

・底辺 Adjacent … 地面のようなもの


ここで大切なのは、あくまで主役は斜辺ということです。




■直角三角形と角度(right angled triangle and angles)

直角三角において、地面からの角度を 正角(angle)と言います。※忘れ去られつつある言葉です。

 

もう片方を 余角(Complementary Angle)と言います。

 

co-angle と略される余角は、「余った方の角」という意味です。

三角形の内角の和は 180° で、右下の直角は 90° ですから、「正角余角は合わせて 90° (right angle)」になります。



【この章のまとめ】


・正角 Angle … 地面からの角

・余角 Complementary Angle もう片方の角

・正角 + 余角 = 90° (right angle)




■三角比(trigonometric ratio)



弦とは何か

三角形で使われる(げん)という概念は、弓の弦(つる)と似ています。

「角の向かい側」といったような意味です。




三角比とは何か


三角比とは、比べることです。


「何と何を比べるているのか」を見失わないで下さい。




sinθ とは何か

直角三角形では、正角(angle)に向かい合う辺を 正弦(sine)と言います。


正弦 を 斜辺 と比べてみます。


正弦(sine) / 斜辺


これが sinθ です。



※この言葉の意味を正確に説明している教科書は残念ながらありません。




cosθ とは何か


余角(co-angle)に向かい合う辺を 余弦(co-sine)と言います。


余弦斜辺 と比べてみます。


余弦(co-sine) / 斜辺


これが cosθ です。


※ cosθ の co は先述した通りcomplementary(余った/補う) 略です。




tanθ とは何か

tangent とは、ラテン語の tangere が元になっておりtouching(触れている)という意味です。


正角に触れているのは、余弦(co-sine)斜辺です。

→その比は cosθ 


余角に触れているのは、正弦(sine)と斜辺です。

→その比は sinθ 


それらを比べてみます。


sinθ / cosθ


これが tanθ です。



数学であっても、言葉への理解は大切です。


ここで公式を。




■公式




sin(90°-θ) = cosθ



これを言葉で書くと、「余角(90°-θ)にとっての正弦(sine)は正角(θ)にとっての余弦(co-sine)である」となります。


もっと速く言えば、「正弦(sin)の逆は余弦(cos)」と言っているだけです。


sin, cos は元々そういう意味の言葉ですから、公式を覚えるまでもありません。



■三角比の精神

高校の授業で三角比を扱う際円と組み合わせて習うと思います。(皆ここで混乱します)


これは、三角比の考えが紀元前から始まり、長く天文学とセットで研究されてきたためです。(天文学で円は重要)


精巧な天文学器械が作られるようになるにつれ、三角比は複雑さを増していきました。


ところが、16世紀に入ると、円を使わず三角形の性質のみで三角比を説明するという、いわば原点回帰が起きます。(本記事の三角比の説明はここに根ざしています)


二千年にわたって信じられ続けてきた三角比の概念を一変させたのは、ゲオルク・ヨアヒム・レティクスです。

George Joachim Rheticus   1514-1574


天文学者でありながら、それまでの考え(円)を捨てるということは、並みの精神力で出来ることではありません。


コペルニクスに地動説の公表を勧めたのはレティクスでしたが、数学にコペルニクス的転換をもたらしたのは、レティクス、その人でした。


 


■記号

William Oughtred (Guilielmus Ovghtred)  1574-1660


三角比 sin,  cos,  tan  の記号自体の発案者は、イギリスの数学者ウィリアム・オートレッドです。


オートレッドは数学者でもありましたが、聖職者でもありました。

その割にオカルトや占星術にも凝っていたり、フリーメイソンのメンバーでもあったりといった様々な面を持ち合わせていました。(こういう所が面白い)
Clavis Mathematicae 1667

オートレッドは著作の中で様々な記号について記しており、「数学を記号で表す」ということに注力した数学記号の祖とも言えます。

最も有名な発案は、× という記号でしょうか。

これは現在でも掛け算記号として使われています。
Saint Andrew's Cross

スコットランド国旗

倍々に増える掛け算の仕組みと × という記号には、聖アンドレ(
Saint Andrew) の逸話に対する、聖職者かつ数学者オートレッドの解釈大きく関わっていると思われます。


そのお話は、またの機会に。





※今日の記事は私独自の研究によるもので、他の方のお考えと異なる部分があります。諸説の一つとお考え下さい。生徒には一般的な教え方をします。












-生まれつき目の見えない人に空の青さを伝える時、何て言えばいい?  こんな簡単なことさえ、俺は言葉にできない。-


江頭2:50











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