■映画のチョイス


勉強が早めに終わったと言うので、『ドラゴンボール』を見るかと娘を誘いました。


すると意外にも、今日はジブリの『風立ちぬ』が見たいと言うのです。


チョイスが大人っぽくなったなと、しみじみ思うのでした。



■風立ちぬ

大正から昭和にかけての日本。


零戦の設計者である堀越二郎が、病弱な妻菜穂子を支えながら、飛行機づくりに没頭するという物語です。


ファンタジーではないという点で、ジブリの中では比較的大人っぽい作品です。

少年時代の夢。

大震災。

設計士として働く姿。

菜穂子との出会い。

結婚。

エンディングへ。


派手な演出はありませんが、二郎のひたむきさ、菜穂子の健気さに、心を静かに打たれます。


これは、限られた日々を懸命に生きようとする2人の愛の物語。


風立ちぬ、いざ生きめやも。



■風立ちぬ、いざ生きめやも。


-Le vent se lève, il faut tenter de vivre.  -

Paul Valery


直訳

「風が立つ、生きようと試みなければならない」



大元は、フランスの詩人ポール・バレリーの作品『海辺の墓地』の最終連に現れる有名な一節です。


『海辺の墓地』では、死の静謐(せいひつ)に魅惑された主人公が、地中海の光と墓地の白さの中で死への親和感を深めていきます。


その瞑想的な静止状態を、風が物理的に断ち切ることで、主人公は「生きること」を再定義していきます。


生は当然のものではなく、努力・抵抗・試みであると、生を肯定したのです。



■映画と育児


ちょっと寝る時間が遅くなってしまいましたが、家族で見る『風立ちぬ』は貴重な機会となりました。


娘は、この映画をどう見たのでしょうか。


ドラゴンボールをずっと一緒に見ていたいという願いと、子どもが新たなステージに進んでいるという現実。


その間にいる私たち。


風は今、立っています。




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