石鎚山頂上山荘に宿泊の朝。

 (画面を2倍に拡大すると景観のすばらしさがわかると思います。)

 

 5時50分起床。薄明。青鈍〔あおにび〕・薄縹〔うすはなだ〕・ピンク・オレンジのグラデーション。幻想的だ。

 

 

 

 日が昇る。

 

 

 宮司もご来光を見るのは久々らしく記念撮影。

 

 神々の夜明け。 

 

 早朝から登頂した人が数名。

 40歳代ぐらいの女性と話した。県内から夫婦で来たそうで朝3時に登り始めたという。「そんな暗い時間に?ヘッドライトをつけて?」と聞くと「そうだ」という。悪天候でキャンセルが多いという宿の人の話からするとご来光目当てで来る人も多いようだ。この山が地元の人々から親しまれていることも察せられた。

 

 広がる雲海。

 

 

 

 金の陽光に樹々の葉が目覚めはじめる。

 

 

 天狗岳も黄金色に染まる。

 

 

 

 緑の大地はまだ眠そうだ。

 

 

 

 山々が眠りから目覚める。

 この後神社の「朝拝」に出た。もともと夕拝に出れば十分と思っていたが前夜神主さんたちと話をして顔を覚えられていたのと一人客ということもあり出るしかない状況に(苦笑)。それゆえ参加することに。太鼓の音を山頂に響かせて開会。神殿内のご神体を開扉。お祓いと「大祓詞」〔おおはらえのことば〕唱和の後に神殿内の三像にふれる儀式を行う。後で調べたところでは「御神像拝戴〔ごしんぞうはいたい〕」というらしい。当社は石鎚毘古命(いしづちひこのみこと)を祀るが三つの神徳を表すため三体の神像を祀る。これらに触れることで「仁…やさしく」「智…かしこく」「勇…たくましく」とそれぞれの徳をいただくとのこと。黒光りする三つの像にふれてありがたく頂戴した。神殿内は撮影禁止でありそもそも神事中は撮影する雰囲気ではないのでこれは控えた。朝の光と山上の清澄な空気の中やはりすがすがしい時間となった。

 

 6時32分。朝食である。副菜は出汁巻き卵・金時豆・昆布佃煮・ブロッコリー・グリンピースと牛蒡のポテトサラダ・沢庵・梅干し。油揚げと里芋の味噌汁。デザートのみかんゼリー。超質素であるが美味しくいただいた。なお左上の白い紙袋はお弁当(1500円)である。

 

 

 

 決済はチェックイン時に済ませていた。お弁当代込みで1泊2食14500円。

 出発の準備を整える。 

 

 7時10分。出発まで時間があったので山荘内の本棚からいくつか書籍を借りて拾い読み。登山女子というか登山ガールというかこういう漫画もあるのだな。神社の歩みや信仰の歴史に関する本も何冊か。なかなかに興味深い。

 

 7時56分。出発前。あらためて周囲の景色を撮ってみる。山荘の裏手。西方向の松山方面。

 

 北方向の西条市方面。(たぶん)

 

 北東の香川・瀬戸内方面。(たぶん)

 

 南方向の高知・太平洋方面。(たぶん) 

 

 弥山の南面を見下ろす。見た感じほぼ垂直。 

 数百メートルの絶壁。

 

 天狗岳へ降りる鎖。

 

 これは東方向の四国山地か。

 

 

 神社の鳥居先の鎖場を確認してみる。三の鎖の到達点。

 

 これは私には無理。ほぼ垂直の絶壁。

 

 これは南東方向の高知の太平洋か。

 

 8時7分。出発である。晴天。

 山荘のスタッフや神主さんに挨拶すると山荘スタッフの男性が「雨で笹藪の葉が濡れているので合羽を着て行った方がいかもしれない。一応ある程度刈っておいたけど」とのこと。私は「お天気がよいので様子を見て」と応じたがスタッフが山荘の管理だけではなく客のため登山道の管理もしてくれていることを知り感謝とともに内心畏怖を覚えた。

 

 8時35分。出発して10分程。どうもおかしいなと思いiphoneのmapを開く。面河渓に向かうルートを行き過ぎていたことに気づく。途中左に折れるところを気づかずに来てしまったのである。引き返す。

 

 む。ここだ。左奥に下る道がある。

 

 よく見ると道標〔みちしるべ〕があった。藪に隠れていて角度的にわかりにくい。

 

 登りとはちがい道がわかりにくい。

 道が寸断されたところもある。山の斜面をロープを伝って渡る。(こういうところを「ロープ場」というらしい。)

 

  それでも眺めは素晴らしい。

 

 

 

 二ノ森(にのもり)は石鎚山系西側に位置する山で標高 1,929.6m 。

 堂ヶ森(どうがもり)は石鎚山系西端に位置する山で標高1,689m。

 

 8時48分。山頂を出発して40分。

 

 このあたりは斜面にササ原が広がりそこを横断するように登山道が通っている。

 

 樹木の様々な姿態が目を楽しませる。

 

 

 右端に見えるような木を白骨樹〔はっこつじゅ〕という。厳しい自然環境により樹皮や枝が剥がれ白い骨のような姿になった木である。

 

 かわいらしい黄色い花が足元に咲く。アキノキリンソウか。

 

 

 

 

 

 8時58分。中央左手は山頂付近。

 

 

 リンドウ。

 

 見渡す限りササ原と青空。

 

 

 快調に進む。

 

 

 時折石段状のものが見られた。

 

 このあたり石や岩を見ると人の手が入っているようにも見える。

 

 

 

 林の中に入ると下草が深く道がいっそうわかりにくい。

 

 時折湧水に出会う。

 

 

 

 

 山頂付近。

 

 景色はよく遠くは見通せるがササ原が腰のあたりまで密生するため足元の視界が遮られる。

 

 黄色い小さな花(アキノキリンソウ?)の群生に幾度か遭遇。

 

 イヨフウロ〔伊予風露:別名四国風露〕。見慣れないが繊細可憐な花だ。東海地方以西・四国・九州に分布。山地の草地に生育。

 

 ヤマハハコ(ホソバノヤマハハコ)か。

 

 

 突然の岩肌。

 

 ヤマアジサイか。ガクアジサイと似ている。 

 

 

 ヤマハハコ(ホソバノヤマハハコ)か。(二回目。)

 

 イナゴ? バッタ?

 

 足場のないロープ場。

 

 湧水。

 

 

 湧水。

 

 山頂を仰ぎ見る。

 

 

 

 

 

 ササ原を進む。

 

 

 涸れ沢で寸断された道が多くなる。ハシゴが架けられているところは「ハシゴ場」という。

 

 

 

 ハシゴ場。

 

 ロ-プ場。

 

 ハシゴ場。

 

 

 ロープ場。

 

 ハシゴ場。

 

 湧水。

 

 

 なんの植物だろう。

 

 

 湧水。

 

 せまい道。

 

 急斜面のハシゴ場。

 

 11時4分。愛媛大山小屋に到着。山頂を出発して約3時間。地図上では1時間程度で着くはずがだいぶ時間がかかった。おかしいなと思いながらもひとまず休憩できる場所に辿り着いたことに安堵〔あんど〕。頂上山荘のおかみさんから「よかった。今日は1名いるはずだ。」と聞いていたのでおそるおそる中をうかがう。

 「こんにちは」と声をかけながら入る。建物入口付近に靴箱や荷物置場やベンチと奥に3畳ほどの小あがりがある。男性が一名ノートPCを前にこちら向きに座っていた。かんたんに挨拶を交わした後とりあえず「トイレをお借りしていいですか」と言って承諾を得る。トイレは斜面を少し下ったところにあり中に入るとバイオタイプであった。写真を見て気づいたが「使用料100円」と書いてある。お金を払った記憶がないのでもしかしたらお金を払っていないかもしれない。もしそうだったら申し訳ない。

 

 

 

 

 

 小屋の少し上にある展望スペースで周囲を撮影。

 

 石鎚山山頂の南壁。左端か弥山。右端が天狗岳。やはりけっこうな絶壁である。

 

 樅ノ木様の葉がサボテン状に生えている。

 

 11時21分。オレンジに黒と白が鮮やかな蝶。ヒメアカタテハというそうだ。

 

 山小屋の男性に「コーヒー飲みますか」と声をかけられありがたくいただくことに。山小屋内でひとしきり語らう。

 聞けば男性は広島は福山出身。愛媛大を卒業後四国で働いているという。山小屋は愛媛大山岳部OBが定期的に訪れて管理しており男性もそのための滞在である。
 私は広島から岡山を通って瀬戸大橋を渡ってきたことや瀬戸内の眺めがすばらしいことを言うとしまなみ海道や広島ー松山間に就航したジェット船からの眺めもいいですよと言った。ジェット船については広島ー松山のルートとして検討していたのでやはりそうかと思った。これは次回訪れたいものだ。

 広島駅は市電が道路から立体交差して駅に乗り入れる景観がダイナミックだったと言うと駅前は比較的最近再開発されたと教えてくれた。そういえば駅前は工事中の囲いが目立っていたのでまだ再開発は進行中なのかと思った。
 四国は瀬戸内海側は工業地帯があるが太平洋側にはそれがなく産業としては観光頼みであるため経済的に厳しいとのこと。そういえば旅の準備の段階で四国の鉄道やバスの便数の少なさを感じていたのでなるほどなあと思った。

 この小屋にはよく来るのか訊くと「ええ」と言い静かな環境で癒されに来ているようでいいですねと言うと笑っていた。

 あれやこれやいい加減長話をしてしまい男性の方から「時間大丈夫ですか」と言われ時計を見ると50分程経っていたので「あ。もう行かないと」と苦笑しつつ腰を上げる。 男性は「この先の石畳は慌てないでゆっくり下るといいですよ」とアドバイスをくれた。

 手ずからドリップしたコーヒーにお菓子までつけてご馳走してくれたことにお礼を言い私は再度出発したのである。

 

 11時52分。ハシゴ場。

 

 

 ハシゴ場が多い。

 

 12時18分。

 

 落ち葉が堆積しているところは比較的歩きやすい。 

 

 倒木が道を遮る。くぐったり乗り越えたり。

 

 ササ原が続く。相変わらず足元が分かりにくい。

 

 道はわかりやすいが足元に岩が突き出ていて歩きにくい。

 

 木の根が露出し道に張り出しているところも多く歩きにくい。

 

 しかし天気は快晴である。

 

 12時42分。ところどころにドングリ。

 

 

 倒木。

 

  13時1分。菌糸類。

 

 木の洞〔うろ〕に生える植物たち。

 

 13時8分。愛大石鎚小屋を出ておよそ1時間。だいぶ下まで降りてきたような気がする。しかし実際にはそうでもなかった。

 実は地図上では山頂から登山口まで3時間程度かかるとされていた。となればゆっくり下っても6時間あれば登山口に着くであろう。8時に出発すれば14時には面河渓に至る。そこで散策・水遊びなどして余裕があれば山岳博物館を見学。15時には予約していた久万高原町のオンデマンドバスに乗り松山方面に向かう。そんな予定であった。

 ところが山頂から愛大小屋まで地図上で1時間で着くはずが実際には3時間近くかかった。登山口まで8kmのうち2kmぐらいであろう。残り6kmのうちおそらくまだ1 ~2kmしか進んでいないはずだ。15時まで残り2時間。このままだと予約したバスに間に合わない。

 さらに私はここにくるまで右膝を負傷していた。ササ原に足元の視界を遮られて突き出ていた岩に気づかず右膝をぶつけバランスを崩した瞬間反対側の左足に体重がかかったところで道の左側が崩落。斜面に体が放り出された。幸い灌木に体が引っ掛かったため数メートルの落下で終わり大事には至らなかった。しかし右膝から出血し分厚い登山ズボンに血が滲〔にじ〕み打撲による強い痛みがあった。

 それだけではない。下り坂を降り続けた結果膝への衝撃が積み重なり両膝が痛むととともに力が入らなくなってきていた。そのため歩くときに正面を向いて歩くことができず左右どちらかに体を傾け膝にあまり衝撃が加わらないように歩かなければならなくなっていた。当然歩みは遅くなる。

 ここまで周囲の景観を味わい写真撮影しながらの下山だったのがこのままのペ-スではバスの予約時間に間に合わずそうなると松山道後温泉まで辿り着けない。下手をすれば野宿か…。寒さの厳しい時季ではないがさすがにそれは避けたい。

 そう思い脇目も振らず下山することに。

 

 ひたすら歩く。

 

 13時18分。それでも珍しいものを目にするとカメラを向けてしまう。トチの実の殻?

 

 13時39分。

  いくら下っても登山口が見えない。

 倒木やはしご場を何度も乗り越えひたすら歩く。

 愛大小屋の男性は「石畳はゆっくり歩いたほうがいいですよ」と言っていたので小屋から先の道は比較的歩きやすいのかと思っていたが全然そんなことはなくむしろ倒木や岩場や滑りやすい足場が繰り返し現れて歩きにくかった。膝の痛みと疲労はマックスで全身汗だくで歩き続けた。

 旅行の準備の際に以前使っていたトレッキングシューズを押し入れから引っ張り出すと靴底が剝がれていたので再購入したが下北沢のABCマートで買ったそれはスニーカーに毛の生えたようなあまり本格的ではないものでもっと足首深く包み込むタイプの登山靴が必要だと感じた。また登山用のステッキがなぜ必要なのかも同時に感じた。いずれも足首をしっかりサポートすることで地面からの衝撃を身体全体に分散して伝えることで和らげるとともに足の力を地面にしっかり伝えるのに役立つ。そういう装備の必要性をこの時痛切に感じていた。

 

 登山道入口は近い?

 

 いや。まだである。

 

 14時25分。ようやく登山道入口。

 このあたりで久万高原町に電話とラインで連絡を入れようとしたが谷間であるためか電波がつながらずとりあえず「遅れるかもしれないが待ってもらえないか」とラインメッセージを送る。(返信なし。)

 

  渓流が見えてきた。

 

 

 14時35分。これが面河渓。だが見物しているヒマはない。

 

 14時48分。うーん。ここで川遊びをしたかった(涙。

 

 14時54分。「四国カルスト」の名の通り渓谷の両岸は石灰の白い色が際立つ。

 山岳博物館はこの先にあるかと山荘のような建物で働いているらしき老婦人に尋ねたが反対側を指さして「あーうー」と要領を得ないので「あ。わかりました。ありがとうございます。」と返事をして先を急いだ。このあたりは川を挟んで道が入り組んでいてひとつ道を間違うと大きな回り道をしなければならなくなるので注意が必要だった。

 

 

 

 14時59分。このトンネルを抜けると山岳博物館である。

 

 15時1分。

 この先百メートルほどにある山岳博物館に到着。オンデマンドバス(実際にはタクシ-)を発見して何とか乗ることができた。いやあよかった(汗)。

 

 運転手さんは私が町から16時に出る松山行のバスを利用するのではないかと思いもしそうなら時間がギリギリになると心配してくれていたが久万高原町発のバスは17時にもあることを私は知っていたので「17時のバスで大丈夫ですので急がないで安全第一で行ってください」と声をかけた。運転手さんは予約時間直前になっても私が来ないので心配して町役場に問い合わせたりもしてくれていたらしい。やはりラインのメッセージは届いていなかったらしい。携帯電話の電波は山の高いところでも開けたところではつながるが低い山間〔やまあい〕や峡谷〔きょうこく〕ではつながりにくいということがこの時わかった。

 

 久万高原町のバス停まで1時間の道中運転手さんと旅の話をした。お客さんの中には今回と同じようなルートで乗った男の親子が途中でコインランドリーに寄ってほしいと言い始めて閉口したとか理解不能な客が時々いるそうだ。運転手さん自身以前はトラックのドライバーだったそうで全国各地に行き土地の名勝・名物を知ったので休日はそういうところに旅するのを楽しみにしているそうだ。因みに運転が仕事なので旅行の時には運転はする気にならず専〔もっぱ〕ら列車を利用するそうである。

 このあたりの紅葉について訊くと以前に比べて時期が遅くなり期間も短くなったような気がするという。私が以前八幡平に行った時に地元の人に高温障害で樹木の葉が茶色くなる話を聞いたと話すとこのあたりもその傾向があるかもしれないと言っていた。

 

 16時11分。久万高原町バス停着。

 運転手さんにお礼をして別れる。乗車時間は1時間ほど距離にして約35kmで料金は1500円(町外在住者の場合。町内在住者は500円)。以前あった路線バスが廃止されたため今年から町が公費で補助し運営している(くまくる久万高原)のでお安くなっていると思う。

 

 

(データ量オーバーのため次の記事につづく。2,3日後になると思います。)

 

 

 

 

付記

 英語のdawn ドーンという語のイメージが夜明け前の薄闇や薄明にぴったりだと思っている。訳語としては夜明け・暁・曙である。
  twilight トゥワイライト は日の出前や日没後の薄明かりや黄昏時を意味し比喩的に衰退期・晩年や曖昧な状態を表す。発音がtoilet トイレット と似ていることからスラングでトイレの意味で使われることもあるというがホントかな?  

 twilight zone は境界・中間地帯ひいては奇妙で不可解な世界の意味になる。