日建設計の山梨知彦氏は「桐朋学園大学調布キャンパス1号館」で2度目の受賞

 

 日本建築学会が2019年日本建築学会賞作品部門(以下、作品賞)の選考結果を同年4月19日に発表した。

 

受賞したのは、「新豊洲Brillia(ブリリア) ランニング スタジアム」(東京都江東区、16年竣工)と「桐朋学園大学調布キャンパス1号館」(東京都調布市、14年竣工)の2施設だ。

 

「桐朋学園大学調布キャンパス1号館」の設計者である日建設計の山梨知彦氏は、「NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎)」に続いて2度目の受賞となった。

 

 

2019年の作品賞に選ばれた「新豊洲Brillia ランニング スタジアム」の内観。競技用義足を開発するためのデータ解析や工作を行えるラボラトリーも併設している(写真:nacása&partners)

 

 

作品賞は10人の委員が応募総数51件から選んだ。

 

まずは8件を現地審査対象とし、委員がそれぞれ3件を推薦。1回目の記名投票で多数の支持を得たのが、「新豊洲 Brillia ランニング スタジアム」だった。

 

評価されたのは、建物の新規性と完成度の高さだ。「近年類いまれにみる“必然の美しさ”を十二分に感じさせる」と評した。

 

 同スタジアムは、障害者トップアスリートのためのトレーニング施設として造られた。

 

トンネル形で、長さ108m、高さ8.5m、幅16.3mの規模だ。透明かつ軽量なETFE(熱可塑性フッ素樹脂)フィルム素材を屋根に用い、湾曲集成材をひし形にユニット化した構造体で支えることで、明るく開放的な屋内空間を実現した。

 

 将来、移転する可能性があるため、解体、搬送、再構築を想定してジョイント部などをデザインしている。同スタジアムを契機に告示が改正され、ETFEが一般化する道を開いた点も評価につながった。

 

 設計を担当したのは、E.P.A環境変換装置建築研究所の武松幸治取締役、KAPの萩生田秀之代表取締役、太陽工業設計本部東日本設計部の喜多村淳設計課長の3人だ。

 

 

 

 

 

2019年の作品賞に選ばれた「桐朋学園大学調布キャンパス1号館」の外観(写真:野田 東徳[雁光舎])

 

「山梨氏の執拗さ」が結実した建築

 票数が割れた候補作について再度議論し、2回目の無記名投票を踏まえて選んだのが、「桐朋学園大学調布キャンパス1号館」だ。

 

住宅地に立つ音楽大学のキャンパスで、周辺の住宅スケールに合わせるため地下1階・地上2階建てのボリュームで計画されている。

 

大きさや高さの異なるレッスン室が坪庭を挟み込む形でランダムに続く。その配置は、時間割を分析して導き出した。

 

「桐朋学園大学調布キャンパス1号館」の遠景。周辺の住宅地に配慮して低層にした(写真:吉田 誠)

 

 

「桐朋学園大学調布キャンパス1号館」の南面外観(写真:吉田 誠)

 

 コンピューターを駆使して3次元的なプランニングを実践した設計手法も高く評価された。

 

地上2階と、地下1階のレッスン室を構造的につなげるため、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を使って、1階の柱の位置を2階と地階の梁(はり)の交点に重ね合わせている。

 

そして角形鋼管巻き鉄筋コンクリート柱を内外に連続させ、1階に学生たちが集うピロティ状の空間を生み出した。

 

講評では、「遮音を気にするあまり、監獄のようになりがちな音大の在り方に一石を投じている」と述べた。

 

 

地上1階の学生ホール。見通しの良い空間に、250mm角の細い柱(角形鋼管巻き鉄筋コンクリート柱)がランダムに林立する(写真:吉田 誠)

 

 設計したのは、日建設計の山梨知彦常務と、同社の向野聡彦フェロー役員。

 

山梨氏は、「NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎)」で14年にも同賞を受賞している。

 

講評では「『NBF大崎ビル』の独創的な環境建築で見せた山梨氏の執拗さは、ここでさらに結実し、音大のキャンパスの原型ともなるべき作品をつくり上げた」とした。

 

 

素晴らしい!!!

この一言に尽きる。

このランニング場は、走っているとき ひし形模様が目に移り

加速感味わえるかも~

 

 

出典=https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00154/00484/