建設地は「マヨネーズ層」と呼ばれる海底の軟弱地盤。
しかも、最大水圧600kPa(6気圧)が作用する大水深下に、外径14.14mという大断面シールド機で総延長1万8000m超のトンネルを掘進する――。
構想浮上から36年、総事業費は1兆4823億円。工事の難しさから、土木の「アポロ計画」と呼ばれた希代のビッグプロジェクトが1997年(平成9年)12月に完成した。
東京湾を真一文字に突っ切り、川崎市と千葉県木更津市を結ぶ全長15.1kmの有料道路「東京湾アクアライン」だ。
東京湾アクアラインの木更津人工島(海ほたる)。海上部分は幅100m、長さ650m。写真奥の木更津側から橋梁部分を走ってきた車は、ここから海底トンネルに入る(写真:三島 叡)
木更津人工島のトンネル入り口。正面奥の海上に白く見えるのは川崎人工島の換気塔(写真:三島 叡)
斜め上空から見た川崎人工島。島の直径は195mで、海面下約50mの海底地盤にトンネルが通っている。換気塔は「風の塔」とも呼ばれ、日本画家の平山郁夫氏などがデザイン決定に関わった(写真:三島 叡)
東京湾アクアラインの全体側面図。東京湾横断道路会社などの資料を基に日経コンストラクションが作成
トンネル各工区の施工者と掘進距離。図中の矢印はシールド機の掘進方向。JVの社名は略称で、ハザマは現在の安藤ハザマ、住友(住友建設)と三井(三井建設)は現在の三井住友建設、青木(青木建設)は現在の青木あすなろ建設。東京湾横断道路会社の資料などを基に日経コンストラクションが作成
川崎側の浮島ジャンクション。写真上に川崎人工島の換気塔がかすんで見える(写真:三島 叡)
川崎人工島の連壁内部を排水した状況。ここからさらに40m掘り下げるのに先立ち、重機が走行しやすいように表層をセメント系固化材で改良した。奥に見える内側ジャケットは撤去する。1993年3月撮影(写真:玉井 強志)
1993年11月に発生した川崎人工島の湧水によって、シールド機の発進が半年ほど遅れた(写真:日経コンストラクション)
鋼矢板セルなどで護岸を構築した木更津人工島。1992年9月撮影(写真:日経コンストラクション)
セグメントによる1次覆工が終わったトンネル内部(写真:日経コンストラクション)
2次覆工のコンクリートを打設する前のトンネル(左)。防水シートの内側に鉄筋を組む。右は2次覆工が終わった区間(写真:日経コンストラクション)
海底トンネルは仕上がり内径が11.9m(写真:古浦 敏行)
川崎人工島に向かって海上輸送中のシールド機(写真:東京湾横断道路会社)
トンネル坑内から接合部の地中に打ち込んだ凍結管に、マイナス30度の冷媒を循環させ、海底の土を凍らせる(写真:玉井 強志)
海底の地中で接合した後、解体が進むシールド機(写真:玉井 強志)
1994年6月、橋梁部で最も大きな橋桁を架設した(写真:日経コンストラクション)
木更津側から橋梁部を望む(写真:三島 叡)
Y字形のスレンダーな橋脚が橋桁を支える。橋脚が高い径間は船の航路となっている(写真:三島 叡)
東京湾におけるアクアラインの位置関係。写真右下は木更津人工島、その左上に川崎人工島の白い換気塔が見える。川崎人工島の上にあるのは羽田空港(写真:日経コンストラクション)
[事業概要]
- 事業主体=日本道路公団。うち、海上部分の工事を東京湾横断道路会社が担当
- 事業内容=川崎市と千葉県木更津市を結ぶトンネル(延長9.5km)と橋梁(同4.4km)から成る総延長15.1kmの4車線道路を建設する。トンネル換気塔として川崎人工島(面積3ha)、トンネルと橋とを結ぶ海上斜路として木更津人工島(同約6ha)を造る
- 工期=1989年5月~97年12月
- 総事業費=1兆4823億円
実に壮大な~
日本の土木の誇り!
もう一個外側にも造る計画あったんだけど。。。
出典=https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00681/040100001/