スターシップに装備するロケットエンジン「ラプター」 (C) Elon Musk/SpaceX

 

宇宙企業スペースXを率いるイーロン・マスク氏は2019年2月1日、開発中の巨大宇宙船「スターシップ(Starship)」のロケットエンジン「ラプター(Raptor)」を公開した。

 

ZOZO前澤氏が乗って月飛行をする宇宙船でもあるスターシップは、現在試験機の建造が進んでおり、今年春以降にも試験飛行が始まる予定になっている。

 

スターシップとラプター

スターシップは、スペースXが開発中の宇宙船で、最大100人の乗客、もしくは100トンの物資を月や火星に運ぶことができる。

 

2018年9月には、ZOZOの前澤友作氏が、この宇宙船で月飛行を行うと発表して大きな話題になった。

 

打ち上げには「スーパー・ヘヴィ(Super Heavy)」という専用の巨大ロケットを使う。

 

機体の直径9m、両者を合わせた打ち上げ時の全長は100mをゆうに超えるなど、性能も機体の大きさもまさに規格外である。

 

さらに、機体は繰り返し再使用でき、打ち上げコストを大幅に低減できるとしている。

 

そして、このスターシップとスーパー・ヘヴィに装備されるロケットエンジンが「ラプター」である。

 

ラプターは液体酸素とメタンを推進剤に使う。メタンは理論上、比較的高い性能が発揮しやすく、また低コストであるため開発や運用がしやすい。

 

さらにススが発生しないため、エンジンの再使用もしやすいといった特長をもつ。

 

なにより、火星の環境使ってメタンを生成できることから、火星に飛行した際に、燃料の"現地調達"ができるという利点もある。


さらにラプターは、エンジンを動かす仕組みに「フル・フロウ二段燃焼サイクル」と呼ばれる技術を採用している。

 

この技術は、理論上、最高の効率が得られるうえに、エンジンの耐久性や信頼性の向上も図れるなど、数々の利点がある。

 

しかし、それと引き換えに複雑な構造、技術が要求されるため、これまでに実用化に成功した例はない。

 

実際、ラプターの開発も、数年前から始まっていることがわかっているが、これまでに何度も設計や、目標性能の変更が行われており、開発の困難さがわかる。

 

今回マスク氏が明らかにしたところでは、テキサス州のスペースXの施設において、まもなくこのエンジンの燃焼試験を始めるとしており、まずはやや低めの性能を狙い(それでも月へ飛行するには十分な性能である)、ゆくゆくは設計の最適化や改良による性能向上を図るとしている。

 

 

ラプター (C) Elon Musk/SpaceX

 

 

 

スターシップ試験機の建造も進む

一方、同じテキサス州のスペースXの施設では、並行してスターシップの試験機の建造も進んでいる。

 

スターシップもまた、幾度となく設計変更が行われたが、現時点では3枚の大きな翼をもち、さらに機体にステンレスを使って銀色に輝く、まるで昔のSFに登場する宇宙船のような、レトロな姿かたちになっている。

 

現在建造中の試験機は、実機と同じく直径9mで、ただし全長は少し短くなっている。

 

またラプターも、実機(7基)より少ない3基のみ装備する。

 

この試験機は着陸技術を実証するためのもので、宇宙には行かず、到達高度は5kmほどだという。

 

以前マスク氏は、早ければ2019年3〜4月にも、この試験機を使った試験飛行を行うとしていた。

 

ただ1月23日に、強風にあおられて部品の一部が倒れ、修理には数週間かかるという。

 

それでも、春から初夏ごろのそう遠くないうちに、この宇宙船が飛ぶ姿を見ることができそうだ。

 

 

スターシップの試験機。大きな翼と銀色に輝く姿が特徴的 (C) Elon Musk/SpaceX

 

 

いよいよ月旅行

しかし 全長100mとは!

でかい!!!

大きすぎるかも。。。。。

 

 

出典=https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/02/post-11642_1.php