「デザイン重視しすぎ」の声受け、機能見直しの動きも

 

香川県は6月20日、「新香川県立体育館基本・実施設計業務公募型プロポーザル」で、SANAA(東京都江東区)を最優秀者に選定したと発表した。評価委員長は京都工芸繊維大学の松隈洋教授が務めた。そのほか、法政大学の北山恒教授や日本大学の斎藤公男名誉教授など計9人が審査に当たった。

 審査はまず4月11 ~ 17日に、応募した32者の提案書を評価。SANAAのほか、日建設計・タカネ設計共同企業体(JV)、SUEP.(東京都世田谷区)、藤本壮介建築設計事務所(東京都新宿区)、坂茂建築設計・松田平田設計JVの5者を選定した。

 そして5月22日、一般傍聴者約130人が見守るなか、公開プレゼンテーションを開催。非公開で審議し、最優秀者を決めた。次点者は日建設計・タカネ設計JVだった。

 

最優秀者に選定されたSANAA案の外観イメージ。背後の超高層ビルは、サンポート高松の高松シンボルタワー。県は案2017年12月、新体育館を整備する基本計画を発表。「新香川県立体育館基本設計・実施設計業務公募型プロポーザル」を実施した。SANAAや藤本壮介氏、坂茂氏らが激突した公開プレゼンテーション後の審査で、SANAAを最優秀者に選定した(資料:香川県)

 

SANAAは、有機的なフォルムを持つ大屋根が特徴の体育館を提案。風景になじむように、大屋根を低く水平に浮かばせた(資料:香川県)

 

 

公園のように開かれた建築を提案。大屋根の庇が生み出す空間は、多目的広場と周辺施設に回遊性を生み出す(資料:香川県)

 

 

アリーナレベルと公園レベルを明快に分けて、管理のしやすい構成を提案。屋根は半屋外を含みながら3つの広場を1つにまとめ、周辺環境と様々な関係を持ちながら多様な使い方ができるとした(資料:香川県)

 

 

日建設計・タカネ設計JVは、あえて建築デザインの主張を抑えた「静かな建築」を提案。空間をシンプルにして骨太の構造を追求し、無駄な設備を排除しようと考えた(資料:香川県)

 

 

瀬戸内海から眺めた新体育館のイメージを重視。アリーナ内部の活気を感じられる構成とすべく、海側をガラス張りのファサードにした(資料:香川県)

 

 

収益性の高いエンターテインメント型の施設を目指し、スポーツだけでなく、コンサートなどでも使いやすいように計画。選手のほか、機材運搬者や観客といった様々な利用客を想定して動線を計画した(資料:香川県)

 

 

SUEP.は、体育館の機能だけでなく、緑化した屋上を人々の交流スペースとすることを提案した。眺望や人の流れ、都市に流れ込む風の流れなどを統合的に計画した(資料:香川県)

 

 

新体育館の屋根架構には、眺望を妨げずに大スパンを実現するHP(双曲放射線)曲面が連続した幾何学体の構造を提案。都市に流れ込む風の流れなどを統合的に計画するとした(資料:香川県)

 

 

藤本壮介代表は、光を通す2重膜構造の大屋根で、天井を「第2の空」と感じさせるような建築を示した。「ひと目見ただけで引きつけられる魅力がある」と、そのインパクトが評価された(資料:香川県)

 

 

空調と自然換気を使い分けた合理的な環境計画を提案。自然エネルギーを積極的に利用し、施設の光熱水費を約39%低減する。さらに、膜屋根は太陽熱を蓄熱し、空調エネルギーとして再利用することで、冷暖房エネルギーを約45%低減できるとした(資料:香川県)

 

 

坂茂建築設計・松田平田設計JVは、瀬戸内海の景色に溶け込む小島のようなツインドームを提案。自然な曲面で合理的なドームの形状とした(資料:香川県)

 

 

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とアルミのハイブリット材で、世界最軽量の体育館を目指す計画を提案。屋根架構に活用する。世界最軽量を実現できれば、1.5カ月の工期短縮と30%のコストダウンが可能だとした(資料:香川県)

 

香川県議会は公開プレゼンを受け、デザインを重視した発表内容が多いと判断。地元議員が委員長を務める特別委員会を6月4日に設置した。委員会では、スポーツ競技大会やコンサートの運営者などから意見を集めつつ、新体育館の機能について議論を進めている。県の担当者は、「23年度の開業目標はずらさない予定だ」と言う。

 

いずれも優れたデザインだ!

さてどれに決まるのかな?

あれっーーーーーーーーー

プールがない?!

 

出典=http://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00358/070500007/