超ヘビー級ボクサーとして世界の頂点を目指した男がいた。

マゴメド アブドゥサラモブ

 

俺のブラザーだ。

 

19試合中18回KO勝ちを果たしたが

ニューヨークのマジソンスクウェアガーデンでやった試合で精魂尽き果て、

リングの上で廃人となった。

 

頭を強打し重体になった彼は生死を彷徨ったが、強靭的な生命力で一命を取り留めたのだ。しかし意識ははっきりしているが全身麻痺で身体が言うことをきかず寝たきりの生活を余儀なくされてしまった。

 

それでも辛いリハビリを何年も諦めずに続け上半身が動き顔の表情が戻り、車椅子で動けるようになるまで回復したのだ。

 

芯の強い奥さんが彼を支え続け、3人娘を厳しく育て上げた。

 

長女と俺の娘は小さい頃からの大親友である。しょっちゅう家に遊びに行き、泊まりに行っていた。家族旅行にまでうちの娘はついて行った。

 

マゴメドはうちの娘が遊びに行くといつも喜んで迎えてくれる。

そしてうちの娘を 4人目の娘 と呼んでくれるのだ。

 

うちの娘がマゴメドの4人目の娘ということは、

その父親である俺はマゴメドのブラザーだと勝手に思い込み

俺は一人喜んでいる。

 

俺のブラザーは13年ぶりに母国ロシアに帰郷している。

ロシアの田舎町ダゲスタンに帰ると

町中の人々が空港に集まり大騒ぎになったそうだ。

 

俺のブラザーはダゲスタンのヒーローなのだ。

 

マゴメドは俺のことをブラザーだとは思ってないが

そんなことはどうでもいいんだ。

 

俺は片思いで全然いいんだ。