俺の家の斜め向かえに住んでいるダニエルさん

彼は高級腕時計修理士のイタリア人だ。

 

俺はダニエルさんを ”さん付け” でいつも呼んでいる。

映画 空手キッヅ が好きなダニエルさんは

俺を ”ミスターみやぎ” と呼んでくれる。

 

ダニエルさん

 

お〜、ミスターみやぎ!

 

っとこんな感じの関係だ。

 

ダニエルさんにはメアリーエレンという若い頃のマドンナそっくりの超美人の嫁さんがいるが、二人の間には子供がいない。その代わり小型犬を二匹飼っている。犬好きの二人はモモがうちに来た時にトイレトレーニングの仕方とか色々と教えてくれた。

 

 

昨年の春、友人が亡くなった。身寄りのない友人は生前に、自分が死んだら遺骨をハワイの墓まで持って行って欲しいと俺たちに頼んでいた。俺たちはその約束を果たす為にハワイに行くことを計画したのだが、問題はモモだ。

誰に預ければいいのだろう、、

 

そんなある日いつものようにモモをビーチに散歩に連れていくとあるパパ友がドッグシッターのプロを紹介してくれた。

 

これで一安心と、ハワイ出発の準備を整え、当日を迎えた。

 

朝ドッグシッターにモモを預け、後ろ髪を引かれる思いで俺たちは空港に向かった。

 

ニューヨークからハワイは遠く、直行便がない。俺たちは少しでも安い航空券を買おうと2ヶ所の接続便で購入した。

 

ニューヨーク右矢印ノースキャロライナ右矢印ロサンゼルス右矢印ハワイ

 

アメリカではよくあることだがノースキャロライナからロサンゼルスまでの便が遅延し俺たちはノースキャロライナ空港で数時間待たされた。

 

嫁の携帯にテキストメッセージが入った。

 

あれ、ドッグシッターからメッセージが入ってる。

え?モモが脱走?え?ど、どういうこと?え?え?え?

モモがフェンスをぶち破って逃げ出したって!!

 

え?なんだよそれ。モモは捕まえたの?

 

モモがフェンスをぶち破ったから他の犬が逃げ出さないように家の中に他の犬を入れてる間にモモの姿が見えなくなって、どこに行ったかわからないって!

 

嘘だろハッ

 

家に帰ろうとしてるのかも!

メアリーエレンに連絡してみる!

 

すぐにメアリーエレンから電話が入った。ダニエルさんに連絡するとダニエルさんは直ぐに店を閉め、ドッグシッターの家の方に車を走らせモモを探しに行ってくれたらしい。

 

俺は頭が真っ白になった。アセアセ モモは俺を探しているに違いない。

オトたんえーんオトたんえーん、オトたんどこにいるの?えーん

と半泣きしながら俺を探してるに違いない。

 

もうこうなったらあんただけ家に帰ったほうがいいね。

遺骨は私たちで持っていくから、モモ探しに帰って!

 

そうこうしているうちに娘のボーイフレンドと彼の母親がフェイスブックでモモの情報を拡散してくれた。娘のボーイフレンドの母親は地元生まれ地元育ちでかなり広いネットワークの持ち主だ。彼女がソーシャルメディアで発信する情報の拡散は早い。

それからドッグシッターの家の周辺まで行ってくれて車を走らせながら、車の窓から 「モモ〜モモ〜」と叫んでくれたのだ。するとフェイスブックの情報を見てモモを捕獲した近所の人が手を振って合図してくれ、モモは無事救出されたのだ。

 

もの凄いスピードの快進撃である!

アメリカ人の動物愛と正義感、その行動力の速さに俺は度肝を抜かれた。

 

しかも娘のボーイフレンドが自分の家にモモを連れ帰り、俺たちがいない間面倒をみてくれることになったのだ。

 

ダニエルさんにモモが見つかったことを報告すると直ぐに電話が来た。

 

モモが見つかったんだって!

でも絶対にあのバカやろうドッグシッターに戻すなよ!

モモは俺たちが面倒みるから安心しろ!

 

ダニエルさん、ありがとう。娘のボーイフレンドがモモを面倒見てくれることになったんで大丈夫です。

 

俺たちは素晴らしいアメリカ人達に助けられ、お陰で無事友人の遺骨をハワイのお墓に埋葬することができた。

 

後で聞いた話だが、

ダニエルさんとアーニーはモモの面倒をみる気満々でいてくれたらしい。

 

俺は誰がなんと言おうとアメリカが大好きだ。

アメリカという国にはヒーローがたくさん住んでいる。

 

還暦になってしまったが、俺もヒーローになりたい!

本物のミスターみやぎになりたい!