反対車線を通る車がみなヘンな動きをしている、と思ったら…
黒っぽいネコが無残な姿でアスファルトに横たわっていました。
こんな時私はいつも子供の頃、友達から聞いた話を思い出します。
「ネコが轢かれて死んでても絶対に『かわいそう』って思っちゃダメなんだって」
「『かわいそう』って思っちゃったら、そのネコに憑りつかれちゃうんだって」
私の子供の頃は、今と違ってネコが家と外を自由に行き来していた時代だから、轢かれてしまったネコに遭遇する機会もずっと多かった。
だから子供の私は、道路の上で最期を迎えたネコに出会ってしまうたびに
「ダメダメ!全然かわいそうじゃない!!」
と自分に言い聞かせていました。
大きな違和感を感じながら。。。
だって私の心は、言い聞かせる文句と全く反対のことを感じていることを子供ながらに気づいていたから。
「こんなこと思ってたら私、いつかネコに憑りつかれるかも」
いつも心配でした。
幸い、死んだネコに憑りつかれることもないまま(たぶん)大人になって今思うのです。
道路に血を流して横たわるネコを見て「かわいそう」と思えない人間になるくらいなら憑りつかれた方がマシって。
死んでしまったネコちゃんだって、自分のことを憐れみ、悲しんでいる人間に悪さなんかしないでしょう、きっと。
だから娘たちにはこう教えてきました。
「轢かれちゃったネコを見て『かわいそう』って思うとそのネコの霊に憑りつかれちゃうんだって。でもその姿を見て『キモイ!』なんていう人間にはなってほしくない。そんな人間になるくらいなら憑りつかれた方がずっといい」
轢かれてしまった黒っぽいネコちゃん。
次に生まれてくるときは、もっともっと幸せに長生きできますように。