臨床つれづれ:成人の慢性不眠症にリラクゼーションは有害!? | こころの臨床

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心理学は、学問的な支えも実践的身構えも、いずれも十全と言うにはほど遠い状況です。心理学の性格と限界を心に留めつつ、日本人が積み重ねてきた知恵を、新しい時代に活かせるよう皆さまとともに考えていきます。

26日の夕方のMedical Tribuneに、こんな記事があがっていました。

 

 

合衆国では非薬物療法のCBT-I(不眠症への認知行動療法)が、不眠症の第一選択とのこと。

これだけでも、とても重要な事実を教えてくれています。

 

日本では、まずは薬物処方、おまけのようにリラックスする方法の指導ではないでしょうか。

 

そのCBT-Iのどの手法またどの要素に治療効果があるのかを解明しようとの、RCT(現在最も科学的手法とされている調査法)メタ解析の結果、リラクゼーションは役に立たないばかりか有害である可能性とのことが分かったのです。

 

 

🐱CBT-I 参考論文

不眠症に対する認知行動療法 Cognitive Behavior Therapy for Insomnia

宗澤岳史/三島和夫  (精神保健研究 55: 71 - 78,2009 【特集2:認知行動療法の現在】)

https://www.ncnp.go.jp/mental-health/docs/nimh55_71-78.pdf

 

 

ちょうど昨夜、ここりんスタッフとの打ち合わせの中で、グリ下(大阪心斎橋「グリコ」電飾看板下辺り、東京の「トー横」のような若者の溜まり場)の子どもたちの市販薬+アルコール濫用の話題が出て、ネット処方可能な最近の眠剤について教えてもらったところでした。

 

 

このMT記事でもCBTは対面でセラピストと行う時、最も効果が良好となる結果も出ています。

日本で身体への直接的な有害性が無い非薬物療法がもっと広がるためには、医療分野でCBTの訓練を受けた「セラピスト」の活用が求められます。

 

 

お医者さんに薬物処方よりも、公認心理師を積極的に利用してもらうためには、国にも診療報酬額の見直しをさらに積極的に進めてもらわないと、心理専門職が国家資格者である意義(国民全体の心の健康の保持増進に資する責務)がいよいよ曖昧になってしまいそうです。

 

 

 

阪大吹田キャンパス生命科学図書館...なかもほぼ人影少なく、落ち着けて好きな場所だった。ここにいると知らない間に時間が経ってます。....10年ほど前は薄暗い一階ラウンジ?のソファで白衣のまま爆睡する医学生とかを見たもんだが、現在はソファは無く、よくどこのキャンパス構内にもみかける(豊中では前からそんなのが沢山あった)採光のよい勉強スペースみたいになっている...。