宗教学会発表「宗教2世」問題の構造・論点と宗教研究の課題 | こころの臨床

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心理学は、学問的な支えも実践的身構えも、いずれも十全と言うにはほど遠い状況です。心理学の性格と限界を心に留めつつ、日本人が積み重ねてきた知恵を、新しい時代に活かせるよう皆さまとともに考えていきます。

2023;09.10,10:40-11:00

「「宗教2世」問題の構造・論点と宗教研究の課題」塚田穂高 (上越教育大学)

 

「宗教2世」問題に以前から取り組んでこられた、第一人者のお一人の発表。

 

こちらは、レジュメ(貴重!)を入手できたものの、その末尾に「※本配布資料・スライド資料の引用・撮影・複写・譲渡を禁じます。」と記されています。最

 

後のページに満杯に記されている「参考文献」の2割は発表者が占め、その次が猪瀬優里先生の論文、次に川又俊則先生とカルト的新宗教研究の方々が続きます。

 

発表者の近著は、あの鈴木エイトさんとの共同編集の『だから知ってほしい「宗教2世」問題』で、今回の発表は主にここ二年間の塚田先生が文章で発表されてこられたお仕事の紹介のようでした。

 

そこで、「禁止」が及んでいない、フロアからの同じ上越教育大学の小島先生からのコメントは紹介できると思います。

 

ちょっと議論になったので印象深かったです。

 

「(そんな議論は)「新潟でやれ」といわれそうですが、…」とユーモアのセンスがきらりと。あ、年初の震災いかがだったでしょうか…。

 

小島先生のご指摘の趣旨は、本発表について、

 

「カルト問題がなぜ後景化されるのか、宗教社会学会では「カルト問題はすでに終わっている」という言説があるが、これをどう受け止めるか」

「学術的な定義が担保されているのか」

「学術的生産性の点ではどうなのか」

「問題設定として一定の弱点をはらんでいるのではないか」

「宗教に絡む社会問題⚪︎△的[…すみません、自分の走り書きが読み取れません]」

 

等々と切り込まれていました。

 

これらへの塚田先生の応答は…なぜかメモしていないので、的確な言葉として印象に残らなかった(あくまでもにゃん的受容能力の限界で)ようです。

 

小島先生とは、20分刻みで発表者が入れ替わる発表会場の先々でお出合いしていたので、(発表会場は今回11部会、これでも、コロナ前とは約半数に減っています…)、後ほどお名刺をおねだりして、いただきました。

 

塚田先生の論旨につきましては、一般向けに書かれた近著をご参照ください。

 

そのご本と同年に刊行の横道誠先生の『みんなの宗教2世問題』を「ブックレビュー」でも紹介していますので、読み比べていただければと思います。