公認心理師 過去問研究[701] 第4回悉皆検討〈137〉応用行動分析 | こころの臨床

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心理学は、学問的な支えも実践的身構えも、いずれも十全と言うにはほど遠い状況です。心理学の性格と限界を心に留めつつ、日本人が積み重ねてきた知恵を、新しい時代に活かせるよう皆さまとともに考えていきます。

第四回公認心理師国家試験問題(2021年9月19日実施)医療・健康

問137  30 歳の男性 A、会社員。喫煙をやめたいが、なかなかやめられな いため、会社の健康管理室を訪れ、公認心理師 B に相談した。B は、A が自らの行動を観察した結果を踏まえ、A の喫煙行動を標的行動とし、 標的行動の先行事象と結果事象について検討した。

先行事象が、「喫煙所の横を通ったら、同僚がタバコを吸っている」で あるとき、結果事象として、最も適切なものを1つ選べ。

1) 喫煙所に入る。

2) タバコを吸う。

3) 同僚と話をする。

4) 自動販売機で飲み物を買う。

5) コンビニエンス・ストアでタバコを買う。

 

 

解は、3

この第4回国試での一番の難問(配点が大きい🙀という点においても)かも。

突然に「自らの行動観察」「標的行動」「選考事象」「結果事象」という特殊な専門用語を短い設問文で多出されても…と困る。

しっかりと小項目をチェックしていて、この用語が、「応用行動分析」に関係している、とわかっても、推理と考察を経ないとすぐには確信をもって選択肢を選ぶことは難しい。つまり、知識だけではダメで、応用をしっかりと問われているということ。あ、この用語見覚えないあかんと思ったら、深追いは禁物で適当に4以外を選んで塗り潰し、見直しの際には、別の確実に正答がわかる問題で勘違いをしていないかのチェックに時間をかけよう!

 

🐱参考 応用行動分析Applied Behavior Analysisについて

先行事象 Antecedent stimulus:行動を起こさせるトリガー(引き金)

標的行動 Behavior

結果事象 Consequent stimulus:行動が強化or弱化されて次の行動が引き起こされる

A-B-Cの三項が随伴する、という行動理論。

👉この問題に当てはめると

先行事象:喫煙所の横を通ったら、同僚がタバコを吸っている

標的行動:喫煙行動

結果事象:? 選択肢のいずれか…喫煙行動を強化する事象が正解!!

...というところまで来ても、いろいろ深く考えてしまうとかえって藪の中に迷い込むかも。

それなら鉛筆転がしと余り変わらないにも関わらず、貴重な時間がどんどん過ぎてしまう。

だから、ここはさらっと勘で答えてから後は振り返らない、という諦めが、臨床的には妥当。

 

■応用行動分析 は主として障害児支援に関して、出題基準・厚労省サイトには割り振られている。応用行動分析と喫煙に関わる論文は少ない。↓

https://scholar.google.co.jp/scholar?hl=ja&as_sdt=0%2C5&as_vis=1&q=応用行動分析%E3%80%80喫煙&btnG=

成人にも活用できるとの提言的出題?苦し紛れっぽさが先立って、良問として成功していないようだが…。

 

🏁ブループリント「到達目標」該当:13-⑵ ?? 16-⑶ 医療活動における心理的支援

小項目例:該当??→依存症(薬物、アルコール、ギャンブル等の「等」?)

*DSM-5では、タバコ依存(305.1)があるが…

📖金剛出版text:p149物質関連障害にタバコは無し。p205

 

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