『恋愛感情と生涯のパートナー』(7) | すべてはうまくいっている! 光と心の調和

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『恋愛感情と生涯のパートナー』シリーズその(7)でございます。

 

経験値のない怖いもの知らずという立場で、あえて『生涯のパートナー』というものについて、恋愛至上主義的要素を排し、心理学的に一寸語ってみたいな‥という動機ではじめたこのシリーズ。誰も求めていない不人気シリーズですがさらに進めます。

 

その前にお知らせですが、シリーズその(6)をかなり書き直しました。再読してみたら例によって激しい書き直しの衝動にかられたわけですが、もともと悲しい文章力なので変わり映えしません(泣

 

前回は最後に「恋愛感情」を操る脳内ホルモンの役割について触れました。

 

大雑把に脳内ホルモンとしていますが、そのほとんどは脳の神経細胞(ニューロン)から分泌される情報伝達のための化学物質=「神経伝達物質」です。ここでは脳以外でつくられるいくつかの性ホルモン、テストステロンやエストロゲンなども含めての総称とします。

 

神経伝達物質の役割についてはかなり解明されてきてはいますが、現在も新たな技術や分析手法の開発とともに、様々な研究が進行中です。

 

今回は、恋愛にも関与している神経伝達物質とホルモンについて、ある程度実証されている知見(仮説を含む)をもとに、 ヒトの恋愛にどう関わっているかを簡単に説明してみます。(あくまでも統計的分析。恋愛における感情や脳内の神経伝達物質の動態はひじょうに複雑で個人差も大きいです。)

 

恋愛感情に深く関与する神経伝達物質とホルモン

 

[主に恋愛初期~中期]

ドーパミン(報酬系への関与):恋愛初期の、ドキドキワクワクの期待や高揚感/個々のセクシュアリティや性愛/性的興奮や快感

PEA(フェニルエチレンアミン):一目惚れ/恋愛の初期においての高揚感や幸福感/焦燥や離れていく相手への執着

ノルアドレナリン:報酬系へのドーパミン的関与/心拍数の上昇/冒険やリスクの受容/緊張・不安等のストレス/恋愛に対する集中と没頭

テストステロン(男性ホルモン):性的欲望・興奮の促進/男性的魅力/独占欲・競争心

エストロゲン(女性ホルモンの一種):恋愛によるリラックス効果/安心感・満たされた感情

 

[恋愛〜愛情・信頼への移行]

エンドルフィン:快感や幸福感/恋愛のストレスを軽減/親密なコミュニケーションによる愛情や絆の形成

オキシトシン:愛情と親密さへの関与/カップルの絆や信頼関係の構築

セロトニン:恋愛時の心の安定や幸福感/性的機能

バソプレッシン:パートナーへの信頼感や絆を強化/パートナーシップや親密さの形成・維持

 

簡単に「恋愛 初期~中期」信頼・愛情への移行期」としましたが、主に初期~中期に生成される恋愛ホルモンは約3〜4年で次第に消失します。

 

恋愛感情は3年で冷める説ですが、科学的に実証された訳ではなく、進化心理学や神経科学の脳内ホルモンシステム、人類学者ヘレン・フィッシャー説などの総合的推論 + 事実の集積(説得力大)ですね。

 

結婚5年以上経っているパートナーに、寝ても覚めてもときめいてワクワクドキドキあなたがすべてもう夢中!って方がいらしたらお知らせください。ひじょうに興味がありますので、コーヒー、ケーキ付きでお話を伺います。

 

恋愛の熱情が冷めて次の段階への移行期に、信頼感、絆といった結びつきを強化するためのホルモンの関与が、その後の相手への感情にかなりの影響を与えることになります。

 

次に進む前に、恋愛だけではなく人生の質に大きく関与する報酬系システムについて簡単に説明しておきます。

 

報酬系システムとドーパミン

 

脳の報酬系は、さまざまな生物行動において快感や報酬を調整するための神経回路の一部です。この系統は中脳の辺縁系、大脳皮質前帯状回(中脳辺縁系の一部) 、視床下部の3つの領域で構成されています。

 

3つの領域は複雑に相互作用し、報酬系の機能や異常によってさまざまな行動や精神疾患も説明されます。例えば、薬物乱用や依存症、摂食障害、抑うつなどの疾患は報酬系の異常が関連しています。

 

報酬系は学習や動機付けにも関与しており、このシステムは行動科学や臨床心理学などの分野でも重要な役割を果たしています。なかでも中脳辺縁系はドーパミンを生産する主な領域で、報酬系の中心的な役割を果たします。

 

ドーパミンは人の行動全般に関与していますが、これには食欲、社交、行動、性行動、学習、報酬に対する反応などが含まれます。ドーパミンの放出によって報酬を処理し、快楽を評価するための主要なシステムの一つです。

 

大脳皮質前帯状回も報酬を処理し、快楽を評価するための主要な構造の一つです。ドーパミンやその他の神経伝達物質によって活性化され、報酬の予測や評価にも関与します。

 

快感物質として知られているドーパミンは、恋愛時の報酬系システムでも中心的な役割を果たします。

恋愛時においては、好ましい相手を見つけるとドーパミンが放出され、それによって相手に対する強い感情や興奮、期待が強化されます。これが一目惚れってやつですね。

 

報酬系システムはセックスにおいて、身体的、視覚的、聴覚的なセクシュアルな刺激を受けるとさらにドーパミンの濃度が上昇し、肉体的・精神的なご褒美(報酬)を要求します。報酬とは「快感」を意味します。快感を得られるという仕組みがスムーズな生殖行動には必要だったのでしょう。

 

快感を追い求めている最中にも分泌は高まり、さらに達成したときにも分泌されます。報酬を受け取ったあともドーパミンの麻薬的効果によってさらなる快楽を求め続けます。これが暴走するとまさに中毒といってよい状態に至ります。

 

恋愛に限らず、人の欲望全般は古い脳の報酬系システムで生み出され、新しい大脳の前頭前皮質の理性がそれを制御するというかたちとなっています。

 

ご存知、 理性と欲望の葛藤、理論と実践の乖離、ですな。新しい脳から生まれた理性君、力及ばず‥のケースも多いですね?

 

報酬系がドーパミンの過剰分泌によって暴走すると、理性による制御が効かない状態となり冷静な判断や長期的な視点が欠如、即時の快楽や報酬に対する欲求・衝動が優先します。

 

会いたい、そばにいたい、離れたくない、我慢できないっ、もうどうなってもいい!!etc. 

相手の存在が頭の中いっぱいになった状態となり、結果、衝動的に勝手に身体が動いてしまう‥そうです。

 

その他の恋愛初期に関与する脳内ホルモン

 

PEA(フェニルエチレンアミン)一目惚れや恋愛の初期段階のときに濃度が高まる神経伝達物質です。また、恋する相手が離れていきそうになるときにもドッと分泌され、去ろうとする相手への執着や独占欲が急激に強まる働きがあることも示唆されています。

 

別れ話をしたら予想外に相手があっさり受け入れたので、逆に未練が湧き執着が生まれ、相手が逃げ腰になると逃がすものかと追いすがり‥わけわからん云々カンヌン‥‥。状況がややこしくなるのは脳内ホルモンがいらんことをするから、というのもあるんですね、きっと。

 

さらにPEAは恋愛時だけではなく極度の緊張状態や不安や恐怖を抱いている時にも活性化されます。吊り橋効果などもPEAの活性化による錯覚現象から生じるものといいます。

 

ところで男性は、女性から焦らされれば焦らされるほど恋心(欲望)がつのるなどと言われがちですが、このおあずけ効果もPEAの仕業らしいですね。

 

ノルアドレナリンも恋愛関係がはじまると分泌が増加し、恋人への期待感が高まり、愛情や絆を強化、恋人との感情的繋がりを深めます。これも場合によっては冷静で理性的な判断を難しくする作用があります。また、ノルアドレナリンはストレスホルモンの側面を持ち、恋愛にからむ緊張や不安などさまざまなストレスにも関与しています。

 

他の脳内ホルモンの関与もいろいろあるのですが、キリがないのでこのあたりで終了します。

 

 

ここまでが恋愛真っ只中で起きている脳内反応とそれに付随する行動となります。

 

個人的感想としては、なんだか脳内麻薬で大騒ぎといった感じですが、これが人類繁栄を促すために人が獲得した最適解?システムなわけです。もちろん恋愛が脳内ホルモンの関与だけで成り立っている訳ではありません。個々人においても不確定要素は無限にあります。

 

ただ、これまで書いてきたような進化論的視点や脳システムの存在を頭の片隅に置いておくことは、恋愛を実践するうえで無駄ではないと考えています。

 

時代による社会制度や規範意識の変化と共に、種々のイデオロギーによって性に対する捉え方も千差万別になってきている昨今、今後結婚制度がどうなるかもわかりません。

 

しかしヒトは、ひとりで生きてゆくにはとてもさみしがりやにできています。

 

特定のひとりどうしが互いに抱く、心からの尊敬や信頼や安心や濃密な感情交流など、生涯を通じての心地よい親密な関係性は、やはり生きてゆくうえでは羨ましく妬ましく貴重なものだと考えております。

 

次回からは、やっとこさっとこ恋愛期間終了以降の生涯を共にできるパートナーについてです。(つづく)