ブレイクスルー(3) | すべてはうまくいっている! 光と心の調和

すべてはうまくいっている! 光と心の調和

横浜の心理カウンセラー ロキのつぶやきブログ。
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『生まれてきてよかった!」
と思える人生のために。

前回まで、心理療法「システムズアプローチ」における主要技法のひとつ「リフレーミング」を、カウンセリングの場でどのように用いるか、ひじょうに簡単に説明しました。さらに乱暴にまとめると次のようになります。

人の思いや言葉、想念や思念、信条や価値観といった、自己規定や他者規定となるものすべて →フレーム」

フレーム → 自らに課した「縛り

「縛り」から自由になっていく、そのプロセス → 「リフレーミング」

フレーム → リフレーミング → ブレイクスルー(非問題化・問題消失)

以上がリフレーミングの概要ですが、リフレーミングにはいろいろな方法があります。詳しくは「折衷主義のカウンセリング理論」の続きであらためて書くとして、ここでは「ポジティブ・リフレーミングpositive reframing」をつかった、自分自身のフレームの変化を考えます。

「ポジティブリフレーミング(肯定的意味づけ)」はその名のとおり、個人のもつ否定的なフレームを、肯定的な意味づけに言い替えるものです。一見どのように否定的に見えることことでも、見方によってその肯定的側面を発見することが可能であると。

例えば「家族に問題が発生」というフレームを「家族の再結束」というフレームにポジティブ・リフレーミングすることができます。また、よく言われる「ピンチ」を「チャンス」と捉えることもポジティブ・リフレーミングと言っていいでしょう。

実はリフレーミングには、ポジティブなフレームをいったんネガティブなフレームへとネガティブ・リフレーミングする方法もあります。しかし私の場合、それは現状のフレームから別のフレームへ変換していくための過程で用いるだけで、最終目的はやはりポジティブ・リフレーミングなのですね。

特に「ポジティブ・リフレーミング」にこだわるのは、システムズアプローチの中心的課題である「問題や症状の解決または消失につなげる作業」を進めていくうちに、クライエントのフレームを変えるための最も強力で単純な方法は、問題解決よりも何よりもクライエントの「幸福感を上げること」だと気づいたからです。

そしてクライエントの「幸福感を上げること」に最も必要なのは、「カウンセラー・セラピスト」と「クライエント(家族・関係者)」間の相互作用によって、「ポジティブ要素」優位の対人関係システムを形成する・・ことなのです。

私の尊敬するシステムズアプローチの達人セラピストは次のような仮説を立てています。

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人が心の内に自覚する(思考・感情)状態を、「幸福感・不幸福感の個人差」に的を絞り、広大な個人システム内を次のように大きく二分する。

「P(ポジティブ)要素」・・・「利他主義」「精神主義」「肯定的意味づけ」
 愛・慈悲・受容・思いやり・勇気・感謝・喜び・楽しみ・安心・信頼・分かち合い・一体感

「N(ネガティブ)要素」・・・「利己主義」「物質主義」「否定的意味づけ」
 妬み・恨み・不満・怒り・悲しみ・軽蔑・憎悪・復讐・疑い・傲慢・恐怖・不安・自信喪失・ゆううつ

人の心は上記のように「P要素」「N要素」から成り立っている。そのバランスのあり方によって、幸福感・不幸感が決定される。P要素もN要素も等しく万人の心の中にあり、個人の意識のもち方によって、どのようなバランスを保持するかを決定することができる。

個々人のPN各要素のバランスは、その人の全人格を示すものではないし、固定的なものでもない。各要素が出現する割合に個人差はあるが、それは決して先天的・後天的なものではなく、そのときどきの意識のもち方によって変動する。一方、意識のもち方によっては、ほとんど固定的に見えてしまう。

「利己的な人」は存在せず、「利他的な人」も存在しない。「今は利己的な傾向が強く出ている状態の人」「今は利他的な傾向が強く出ている状態の人」がいるだけである。

さらに心をN要素が大きな割合を占めている状態が持続していくと、「問題」「病気」「不運なできごと」などが現実の生活面に現象化されると仮定する。現象化された「問題」「病気」「不運なできごと」は、さらに心のN要素を強化するので、心の状態と現実との間に悪循環が形成される。これを個人的N循環(personal Circulation Type N)と命名する。

同じように、心をP要素が大きな割合を占めている状態が持続していくと「幸運なできごと」が生活面に現象化されると仮定する。この婆、現象化された「幸運なできごと」は、翻って心のP要素を強化する可能性が高いので、心と現実との間に良循環が形成される。これを個人的P循環環境(personal Circulation Type P)と命名する。

つまり、「問題」「病気」「不運なできごと」「幸運なできごと」といったものは、心のあり方の現象化であると同時に、心のあり方を規定する要因でもあると考える。

善因善果、悪因悪果、スピリチュアル風に言えば「引き寄せの法則」や「波長同通の法則」など、ある方面ではごく基本的なフレームともいえる。


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以上の仮説をもとに考えると、N要素の傾向が強いときには、物欲や金銭欲、社会的地位や名誉、人の愛情を得ること、等々が人生の重要な目的となっています。ほとんどの場合、それがいったん満たされたとしても、もっともっとと欲望は際限なく増大し、一方では失うことへの恐怖心が芽生えてきます。執着が強いだけに、求めたものが手に入らないときや失ってしまったときにおける、心に吹き荒れる嵐はひじょうに大きなものとなります。

さらに、人は利己的な状態にあると「他者に要求する」「他者を責める」「他者をコントロールする」傾向が強く現れます。自分の面子やプライドにこだわるあまり、人を恨んだり復讐心を抱いたりして自傷他害の行為に及ぶことさえあります。

N要素の強い状態の人は、たいてい「私の人生は不幸である」と定義しがちです。けれども、PN循環の考え方からすれば、それは決して人生が不幸なのではなく、ただいまのところ「私はN要素が強い状態にあり、N循環に陥っている」だけなのですね。


システムズアプローチでは、問題を抱えた人のもっているフレーム(ものごとに対する意味づけの仕方)をリフレーミング(再枠組み、再意味づけ)します。そのなかでも特に、「N要素の高いフレーム」を「「P要素の高いフレーム」に変えていくP要素強化型リフレーミングをポジティブ・リフレーミングというわけです。

では、個人でポジティブ・リフレーミングを行い、P要素で心を満たす方法について考えてみます。(つづく)


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