こころ歯クリニックのブログ

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岡山市東区にある歯科「こころ歯クリニック」です。歯科医院が苦手な方、しっかり歯科治療をしていきたい方、お口のお悩みご相談下さい。

 院長の長島です。私の恩師である大学教授が、先日退職されました。学長となってもうしばらく大学に残る可能性もあったのですが、残念ながら大学を去ることになりました。私の卒業時から26年来の子弟関係ですので、非常に感慨深いものがあります。今でもご指導頂くことも多々あり、このご縁がなければ今の私はありません。もし私が大学を辞めず医局に残っていたら、ひょっとしたら次の教授だったかもしれませんが、今も優秀な後輩がたくさんいますので、どこかで逆転された可能性は高いです(^^;

またこころ歯クリニックでは4月に2名が辞職しました。急であったこともあり、皆様にはご迷惑をお掛けして申し訳ありません。しばらく予約が入り難いかと思いますが、ご容赦願いますm(__)m

 

 当院ではフッ素を使用した虫歯予防をしていません。先日ある患者さんから、ニュースで話題になっていた吉備中央町のPFAS汚染の危険性は、歯磨き粉に入っているフッ素と同じですか?と聞かれました。実は以前から調べてもよく分からなかったのですが、今回日本のPFAS研究の第一人者の先生のご講演でようやく理解できたので、お知らせします。

 

 結論から言えば虫歯予防のフッ素は無機のフッ素化合物であり、数千種類の有機フッ素化合物の総称であるPFASとは違い、危険性も異なります。また沢山のフッ素が結合した有機物であるPFASは人工合成物であり、何か生活の役に立つことを期待され開発されたものです。

しかし当初から壊れにくく、環境に残りやすい性質から深刻な土壌汚染が発生しており、危険性が懸念されていました。経年的に地下水が汚染され人体に取り込まれ、検査を受けた9割の住民で血中濃度が基準値の7.5倍以上だったというのが吉備中央町のニュースです。

この地下水のPFAS汚染は全国的な課題ではありますが、ほとんどの地域で調査は行われていません。また食品や魚介類からの摂取も問題ですが、国内での指標はまだありません。血中濃度が基準値を超えたから病気になるという訳ではありませんが、健康リスクが高まることは明らかです。

 

 一方で無機フッ素は環境汚染には無関係で、天然にも存在するものです。人体には微量であれば安全とされていますが、多量では多動性障害、記憶障害を引き起こす神経毒の一種であり、かつて殺鼠剤の代表的な成分でもありました。虫歯予防のために歯だけに限局して少量塗布できるのであればまだいいかもしれませんが、お口の中は粘膜であり吸収が早い組織です。特に吐き出せない乳児には注意が必要であり、飲み込ませない配慮が必要です。またいくら微量であっても継続して塗布することに抵抗を感じます。

 

 虫歯は様々な要因が組み合わさって発生するものです。虫歯にならないようにフッ素を塗布し続けるよりも、噛み合わせやくいしばり、食生活などの見直しを考え、原因を除去することが本当の予防治療だと考えます。