先日、友人から宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の自筆原文のコピーをいただきました。
この有名な詩は、賢治が37歳の若さで亡くなる2年前の11月3日に病床の中、手帳に書いたもので、死後、賢治の弟によってトランクの中から遺書と共に発見されたそうです。
この「賢治の手帳」の中に10ページにわたって書かれているものを1枚にまとめてくださり、いただきました。
いただいた場所が会合を終えたあとの懇親の場でのことだったのですが、読み進むに従い、涙が込み上げてくるのをこらえるのがやっとでした。
いつ以来だったのか記憶は定かではないし、ちゃんと読んだかどうかも心もとないのですが、こうして、この時期に、読むことができたことを、心から感謝しました。
ありがとうございます。
「雨にも負けず」
雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな萱(かや)ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束(たば)を負(お)い
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そういうものに
わたしはなりたい