いつもお読みいただき
ありがとうございます
わたしを抱きしめる妊活コーチのなつです。
昨日、犬の散歩中に見た桜が、本当に綺麗だった。
風が吹くと、花びらがふわっと舞って
私の足元を前に進む。
その瞬間、なんとも言えない幸福感が
心の奥から溢れた。
「私、いま、幸せだな」って、自然に思えた。
でも、去年の春。
私は同じ桜を見ても、何も感じなかった。
妊活を終えたばかりだった。
ショックは……なかった。
いや、正確に言うと、感じる余裕がなかった。
私はブラック企業に勤めていて、
子どもを授かれなかったその事実を見ないように、
ただひたすら、仕事の成果で
自分を埋めようとしてた。
評価されること、誰かの役に立つこと、
数字を出すこと、立ち回ること。
それが「子どもを産めなかった私」に残された、
たったひとつの価値の証明のように思えてた。
だから、妊活をやめても、
本当の悲しみには向き合わなかった。
そんなある春の日。
私は、大好きなお料理教室に向かっていた。
休日なのに、会社からは催促のメール。
取引先からも通知が絶え間なく届く。
スマホを開くたびに
なんとも言えない小さなザワつきが胸に広がった。
周りには桜が咲いていた。
満開の桜──
なのに、ちっとも綺麗だと思えなかった。
「私、桜、好きだったはずなのになぁ……」
そう思ったとたん、なんの前触れもなく、
気づいたら涙がこぼれていた。
その後も、家にひとりでいると、
ふいに涙があふれて止まらなくなる日が続いた。
あの頃の私はもう、
「働いてる」けど「生きてる」
とは言えなかったのかもしれない。
迷って、悩んで、何度も踏みとどまりそうになったけれど、私は決めた。
この夏、会社を辞めよう。
それが、自分の心をもう一度取り戻すために
私にできる、最初の一歩だった。
あれから1年。
私は、仕事を辞めて、妊活も卒業して、
肩書きも、目標も、外からの評価もないまま、
「ただの私」で生きている。
でも、今年の桜は、ちゃんと綺麗だった。
風に舞う花びらを見て、
胸の奥が、ふわっと温かくなった。
「あぁ……今年の私は、ちゃんと感じられてる」
嬉しい、それだけじゃない。
桜の命の力強さと、はかない美しさに、
心がそっとゆるんでいくのを感じた。
足元に広がった桜の花びらが、
私が歩くたび、ふわりと前へ流れていく。
その光景はまるで
私の前を、神様が静かに歩いていくような
不思議な感覚だった。
そして、風に舞った花びらたちは、
やがて川の水面に降りていった。
はらはらと落ちて、そっと浮かぶ
あの一瞬は、ただの景色じゃない。
俳句にしたくなるほどの、美しさだった。
そう思った私は、心の中で、そっとこう詠んだ。
花びらが
神の歩いた
道に舞う
舞い落ちて
水に浮かぶ
や春の声
あの瞬間、
ずっと置いてきた自分の感情が、
静かに戻ってきた気がした。
風がやんで、シャッターチャンスは逃した。
でも、私は思った。
「これは、私の心に残すための
風だったのかもしれない」
最近、SNSの世界に身を置いていて思う。
スマホ越しに世界を見ることが多くなると、
感情も景色も
あとで見るためのものになってしまう。
でもこの日、桜の下で感じたのは、
あとに残すよりも
ちゃんと味わうということだった。
香り、風、足もとの土、頭上の光。
それを「感じられる心」で受け取れたことが、
思ったよりも、すごく尊いことだった。
ふと、公園のベンチに座る
ご年配の女性が目に入った。
何をするでもなく
ただ桜を眺めて、風を浴びている。
誰よりも、桜の美しさを
丁寧に味わっているようだった。
「忙しくしてない人は
こうやってちゃんと春を味わってるんだな」
私は、そんな当たり前のことに
やっと気づいた気がした。
それだけでも、ここまで来られた自分に
「よくやったね」って言いたくなった。
専業主婦、育児中、妊活中、仕事を辞めたあと
私たちは「何かをしてない自分」に、
つい無意識に「罪悪感」や
「焦り」を貼りつけてしまう。
でもね。
忙しさの中で
桜の美しさに気づけなかった去年の私と、
ただ歩くだけで、心が震えた今年の私。
どちらが「社会に貢献していたか」なんて、
誰にも正しくは測れない。
むしろ、「ちゃんと感じられる心」を
取り戻した今の私の方が、
ちゃんと生きてるって、胸を張って言える。
だからね
専業主婦でも、何かを辞めたあとでも、
立ち止まって風に舞う花びらを見つめられる、
そんな心を持てているなら、
それだけで、あなたは十分に
「社会に参加している」。
何かを生み出さなくても
誰かを支えてなくても、
ちゃんと今ここで、生きてるってだけで
価値はある。
桜のように
ただ咲いて、ただ舞うだけで、
誰かの心を震わせる存在だって
あるのだから。
🌸不妊治療中のあなたへ
いま、あなたが「がんばっているのに
結果が出ない」と思っていたとしても、
それは、あなたが怠けているからじゃない。
努力が足りないからでも
運が悪いからでもない。
あなたが今、向き合っているのは
「命」という、自分の力では
コントロールできないものだから。
だからこそ、「結果」だけに
すべての意味を預けないでほしい。
ひとつ呼吸をして、
ふと足元の風に目を向けたとき、
もしも小さな春を感じられる心があるのなら
それは、あなたが壊れていない証拠だし、
ちゃんと「生きてる」証拠です。
あなたの価値は
妊娠できたかどうかでは測れない。
あなたが今日、ちゃんとここにいて、
誰かを大切に思って
笑ったり泣いたりしてること。
その全部が、もう十分に
あなたを証明してるから。
心のビタミン
「人生の本当の贅沢とは
自分の感受性を守ることだ。」
── 吉本ばなな
静かであたたかな春の光が
そっと差し込みますように。
またここでお会いできますように🍀
あなたの妊活を、心から応援しています🌷💫
最後までお読みくださり
ありがとうございました
🤝 みなさまへのメッセージ
不妊治療は確かに孤独な戦いになりがちです。
でも、一人で抱え込まないでください。
悩みを共有し、
一緒に考えていけたらと思います。💕
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