7月の読書会の本は
動物学者の河合雅雄さんの
『少年動物誌』
読書会メンバーのリクエストで読んだのだけれど
この本を選んだのは
「なんとなく」って理由だって、言っていたけれど、
なんて面白い本選んでくれたの!って読みながら思った。
河合 雅雄さん(1924〜2021)は、兵庫県丹波篠山市出身の日本の霊長類学者、児童文学作家で理学博士。
心理学者の河合隼雄さんはご兄弟です。
この『少年動物誌』は
河合雅雄さんの少年時代の動物たちとの交流が綴られた本です。
子ども時代、河合雅雄さんは病弱な子で、
学校も休みがちだったそうです。
そんな中、河合雅雄さんの成長を支えてくれたのは、少年期の深い自然とのつきあいだったと、
河合さんはあとがきに綴られています。
美しく豊かな自然の中で、動物、鳥、爬虫類、昆虫などとの関わりが描かれていますが、
『主人公は私ですが、こんな経験は、私たちの子どものころのだれもが、同じように持っていたものです。
だから、この話は戦前の子どもがみんな共通に持った、自然とのかかわり愛を書いたものといってよいでしょう』
(自然のなかのこども=あとがきにかえて より)
とにかく、病弱だという少年は
時に布団の中にいるけれど、
外で動物を飼ったり、捕まえたり、するときの生き生きしている様子、わんぱくさ、たくましさ、力強さは
自分の子ども時代でも、もしかしたら、男の子にはそんな子いたのかもしれないけれど、
桁が違う。
うなぎや魚を捕まえる話の章、『水底の岩穴にひそむもの』が一番驚きワクワクして読みました。
生きるというのは、生死と、表裏一体で、かつ、これくらい生きることに貪欲でないと生きられないのかもしれない。
ここ1週間、畑の鹿害がひどくて、
畑の周りの囲いを飛び越え、それぞれの作物にもネットをかけているのだけれど、
それを外し、破き、食べられている。
それも、主人不在で私が一人食べられないようにと、ネットをかけ直して、外れないように、と思って
カバーを補強するのだけれど、
次の日に行くと、「え?これはずしたの?」と思うくらい
ネットのはずし方が、えげつない。
主に葉っぱが食べられるから、
きゅうりやオクラなどの実は残っていて、収穫は出来たけれど、
昨年まではトマトは食べてなかったのに、
今年はトマトの実も食べられている。
剪定してしなびたオクラの葉も今年は食べている。
私はこの本を読んだからか、
ヒトも含めて、動物の本来の生きるってことは命懸けで、必死なのだと思った。
ただ今は、便利になった分、
生きることの大変さを、別の理由で味わっているのかもしれない。
私は2009年に
くどうなおこさんと河合雅雄さんの講演会を岡山に聴きに行った。
ノートの文字が小さすぎて、何を書いているのか読めない。
タイムマシンで15年以上前に行ったら、
私は私に
ノートはボールペンで(これはボールペンで書いているからまだ見えるが、鉛筆でメモしているものなんて
読むのが一苦労なのだ)、大きな字で書くように 伝えたい。
河合さんの講演ノートには
「自分って一体なんだろう」「人間とは何か」と考えることが人間の証である。
すべての子育ての原則 「1人で生きていく力をつける」
と書いてある。
この講演会の後、本を購入してサインをいただいた。
草山万兎は河合さんのペンネーム。
「(その講演会の販売コーナーで色々な本が販売されている中)この本を買ってくれたのは、
あなたがはじめてだから、これも書くね」
と、左下の不思議な文字を書いてくださった
これは、裏から見ると
や〜〜〜〜〜
「河合まさを」 のサイン!
ユーモア溢れる出来事で
私の心が鷲掴みされたことは忘れられない思い出。
2021年にお亡くなりになられましたが、
丹波篠山市民センター 図書コーナー内に、
河合さんが残された自然保護や野生動物との共生、歴史文化を生かすまちづくり等の提言を後世に語り継ぐための場として、丹波篠山市名誉市民河合雅雄顕彰室「万兎の部屋」を設置されたそう。
足を運んでみようと思う。
https://www.city.tambasasayama.lg.jp/soshikikarasagasu/shichokoshitsu/gyoseijoho/1/26231.html