先週月曜日は

我が家での読書会の日でした。

 

課題本は

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「まぼろしの白馬」

エリザベス・グージ 作

石井桃子 訳

岩波書店

 

 

 

 

古い領主館にひきとられた孤児の少女マリアは,館にまつわる伝説に興味をいだき,その謎を解こうと大はりきり…….活発で明るいマリアは,長いこと女っけのなかった森の館の静かな生活を一変させ,周囲のおとなたちを事件にまきこみます.カーネギー賞を受賞した,スリルあふれるロマンチックな物語.

 

 

 

 

冒頭から読みやすく、

主人公の紹介から始まる。

想像しやすい。

 

 

不思議で謎めいていて、

ハラハラドキドキしながらも

ロマンティックな場面や

美味しそうな場面もあって、

結構てんこ盛りだけれど、

とてもスーッと入れて

本の世界を楽しめた。

 

 

 

ただ、読み終わってから

大人の目線で見ると

ファンタジーの魔法がとけてしまう。

 

 

解説を書かれていた

中川李枝子さんが

 

「思うに、『まぼろしの白馬』を読むには少しばかり魔法が必要です。

呪文は「時は1842年 マリア・メリウェザー13歳 ちちんぷいぷい」。

読者も13歳になりきれば、疑念は一切解消します。

 

 

中川李枝子さんはよくわかってらっしゃる。

本当にその通り。

 

 

今回、

読書会での参加者でのやりとりで

最初の感想は

ファンタジーをとっても楽しむ感想が出ていたのに

だんだんと言葉を交わしていく中で

大人の私たちが顔を出してきて

冷静な感想がでだした。

 

 

本を読んでいる間は

ページを開くと

すっかり子どもだったのに

 

 

多くの言葉を誰かと交わす中で

現実に戻されてしまう。

 

 

今回の読書会はそんな体験もできて

それもいい経験。

 

 

 

 

さて、

 

物語は

ドキドキの場面もあるけれど、

安心して

ページをめくることができた。

そして、

想像することが楽しくて。

 

 

お屋敷に行くまでの道のりもワクワクするし

ムーンエーカー館にも行ってみたいし

マリアの部屋にも入ってみたい。

 

マリアの部屋を

読書会の仲間も

ルパン三世カリオストロの城の

クラリスが閉じ込められていたあの塔の小部屋を思い出したと

言っていました。

 

宮崎駿さんは

「まぼろしの白馬」を読んだかもしれないよね、

なんて話もしました。

 

 

 

他にも

ロビンとラブディ・ミネットの住んでいる

門のところにある家って…一体どうなっているの??

気になる?

 

 

この食べ物、何?

どんな味?

これだけの食べ物が並んだテーブルは

どんな風景なのかしら?

 

 

洋服はどんな服?

 

服を準備してくれるのは

何?そんな方法で部屋に入るの?

 

 

 

 

不思議で美味しそうで

色々と想像しながら実際に

それをみたらどれだけ心躍るのだろう

なんて思いながら、読み進めていきました。

 

 

柔らかいカラフルな色合いを感じる物語だと思いました。

(抽象的)

 

あと、

イラストが素敵です。

読んでいると時は読むことに集中して

イラストを見落としてしまうこともあるので

読み終わった後に

イラストを見返すと、素敵でした♪

 

 

お姫様に憧れた

子ども時代の私がこの本と出会わなかったのは残念です。

 

 

 

 

 

イギリス文学では

情景描写を読むのに

時間がかかってしまう

という感想を抱く人もいるけれど、

この本は情景があまり細かくない

 

と思ったら、

岩波少年文庫版の「幻の白馬」の

石井桃子先生のあとがきに

“原作のままでは、あまりにもイギリスの昔の風俗が細々と描かれているため、日本の読者が物語を追うのにかえって煩わしいのではあるまいかという懸念から、説明的なところは省略しました。後で、わかったところでは、イギリスやアメリカでも1976年からは、省略した形で読まれているそうです。”

 

と書いてありました。

 

 

今の子どもたちも読みやすいのでは

ないかな?と思います。

 

 

 

 

この本の対象年齢が

5、6年生から

となっていたのは

ロマンティックな物語だからなのか?

はたまた、

背景になんとなくキリスト教の神や赦しが

あるから(と感じた)なのか?

どうなのでしょうね。

 

登場人物の中には

手紙が書ける(猫のザカライア)、料理を手伝ったり(シリーナうさぎ)、

威厳ある動物(犬と紹介されるが実はライオンのロルフ)が出てくるのですが、

 

ライオンが出てくると

「ライオンと魔女」のアスランを思い出して、

このライオンは神?かしらという意見と

昔の伯爵の化身かしらという意見が出ました。

 

動物たちも神に仕えしものたちかしら?なんて、想像したり。

 

 

 

 

エリザベス・グージが子ども時代、お父さんは神学校の副校長で

お母さんはエリザベスによく昔話をしてあげたとのこと。

 

彼女は子どもの頃から物語を書きたいと思っていて、

大学時代から物語を書き始めたそうです。

 

小説家としての地位を確立していく中、

 

父亡き後(オックスフォードの大学の教授だったそう)、

エリザベスはお母さんとイングランド南西部に移り住みます。

 

地方での暮らしの中で

その土地の自然を愛し、歴史や伝説、言い伝えを学んだそうです。

 

「まぼろしの白馬」に出てくる景色はデボン州の景色であり、

この作品に出てくる海の波から生まれる白馬はデボン州で

言い伝えられてきた生き物だそうです(あとがき参照)。

 

 

 

言い伝えが物語に入っている話って

ファンタジーの中にリアルがあって

より物語が本当にあったおはなしになるからか、

本当の話を受け取る気持ちになります。

 

 

言い伝えの話で思い出したのは

「ブリジンガメンの魔法の石」

「地に消える少年鼓手」

 

 

ネットで写真を見て、

この地がモデルなのか〜とイギリスの物語の舞台に

思いを馳せるのが好きですが、

 

今回の「まぼろしの白馬」も

写真を見ながら

 

物語を思い出し、振り返り反芻するのでした。

 

 

 

 

追記 食べ物の中で一番いいなあと思ったのは泡立てミルクでした(私も)♪

朝から、そんなミルクが出てきたら幸せだろうな〜