6月の姫路である読書会の

課題本はこれでした。

 

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「アンナプルナ登頂」

モーリス・エルゾーク 作

近藤等 訳

 

私は岩波少年文庫で読みましたが、

 

白水社、山と渓谷社からも

出版されています。

 

 

1950年、アンナプルナ。

正確な地図もなく、モンスーンの襲来目前という

きわめて困難な条件のもとで、フランス遠征隊は

必死の努力を続け、ついに8000m峰の初登頂に成功した。

隊長エルゾークは凍傷のため手足の指を失ったが、

彼の記したこの冒険物語は、人びとの勇気と友情や、

山への痛切な思いに溢れ、深い感銘を与える。

(本カバー内容紹介より)

 

 

 

私は数年前からハイキング程度の登山をしています。

最近は全く走っていないけど、

ジョギングもたまにするようになって。

 

しんどいことをするのを嫌な私が

しんどい先にある爽快感、達成感、

リラックス感などを知っちゃったのだ。

 

 

山に関しては

一緒に登ろうよと声をかけてくれる人がいて、

登った時一緒に喜べる嬉しさがある。

美しい景色を見たときに

一緒に「美しい」と感じることができる。

 

 

誰もが持っている

「やってみたい」という

人間のちょっとした欲求から生まれるもの。

 

 

 

小さなチャレンジも

大きなチャレンジも

一緒に喜ぶことも

 

 

人間だからなんだろうな。

 

 

 

さて、

アンナプルナってサンスクリット語で

「豊穣の女神」という意味だそう。

美しい名前の山だ。

 

当初、エルゾーグ率いる

フランス隊はダウラギリに登るかアンナプルナ登るか

決まっていなくて、

チームメンバーがルートを探すために

登って、検討の結果、

アンナプルナ登頂が決まったらしい。

 

まだ誰も

登ったことのない山のルートを自分たちで

見つけて登っていくとか

凄すぎるよ!!

そして、

危険極まりない!!けど

冒険者ってそういうものなのだろうな。


荷物を運ぶため(そして高山病対策?)に

登っては下り登っては下りを繰り返ししながら、

少しずつ頂上を目指して進んで行くのは、

私には無理!!

せっかく登ったのに下りるなんてー。


そして、チームでなければなし得ない。

シェルパやポーターなど下支えしてくれる人がいるから、プロジェクトは進むのだ。


筆者モーリスとエルゾーグが登頂を1番上のキャンプ(第4キャンプ)からアタックする時、そのキャンプにいた同行していた2人のシェルパのうち 頭のアンタルケィに頂上アタックを一緒にしようと誘ったが、アンタルケィが断ったシーンが好きだ。


「高い山にいることを確かに愛しているのに、しかもなお、長い間の努力の報いをわがものにできる瞬間になって、用心深くこれを見あわせるとは、なんともふしぎな心の持ち主であることか。しかし、結局のところ、ぼくらの気持ちこそ、かれらにとっては、なおさらふしぎに思えるにちがいない」(p169〜)

 

 

 

 

私が山に登るといっても

道具不要の登山なので

テレビや映画などで観た

登山の知識を頼りに読み進めていくけれど、

 

本に添付してある地図やイラストを

参考にして読むけれど、

山がうまく想像できなかった。

 

登場人物も多く、

誰が誰かわからなくなるので、

何度も登場人物の紹介のページをめくって読んだ。

 

白水社、山と渓谷社の大人向けの本は

登場人物紹介のページはなく、

途中の山のイラストも

岩波少年文庫の方が本を読むのに

参考になったという意見が読書会でもあった。

 

 

ただ写真は

白水社、山と渓谷社の方が多くて

想像を助けると思った。

 

下山後、負傷者2名を

担架で(というより写真は箱だったような)ポーターが運んでいく

田園の写真は、少し滑稽な風景だった。

 

 

内容は

白水社、山と渓谷社の本を

簡略したものが岩波少年文庫で

 

白水社、山と渓谷社の本は

フランスでの準備の時点からストーリーが始まるようだ。

 

岩波少年文庫で

十分楽しめた。

 

 

 

 

読書会では

 

児童書に関わっていた先生がいい本だと言っていた、

 

何か魅力的なものに

取り憑かれた時の人の状態についての感想や

 

専門用語がわかりにくかった(巻末に説明はある)とか

 

感情移入がしにくかったとか

 

凍傷の治療が怖かったとか

(私は凍傷の治療がなぜ動脈注射をするのか

わからなくて知りたかった)

 

 

そして、

読書会でないと

出会わなかったかもしれない本と

出会えてよかったというのが

多くの人の意見だった。

 

 

 

 

命の危険を冒してでも

チャレンジしようと思うことが

あるのか?

 

そんなこと言ったら

車を乗ったり運転することも

命の危険がないわけではなく、

 

そう考えると

人は誰しもチャレンジャーなのだなと。

 

 

 

 

モーリス・エルゾークは

この本を

「人間の生活には、他のアンナプルナがある…」

締めくくっています。

 

 

彼はその後、

市長やIOCのフランス代表などの要職に就いたそうです。

 

 

 

このブログを書くのに

本の表紙の写真を撮った時

じっくりとアンナプルナの表紙を

見ると

本当に美しい山。

 

読む前と読んだ後では

読んだ後の方が

写真が美しく見える。

 

晴れていて日が当たるととても暑くて

夜はとてもつもなく寒い

過酷な山であることを

読んで知ったからだ。

 

アンナプルナに登らなくても

私は体験している。

実際に起きた話の力を写真の見え方で

感じてしまった!

 

ことに気がついた。

 

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次回、月末にある読書会Bの課題本は「まぼろしの白馬」

   来月の読書会Aの課題本は「砦」

です。