5月の姫路の読書会の

課題本は

 

ローズマリー・サトクリフの

「辺境のオオカミ」でした。

 

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 敵の策略により大敗を招いた百人隊長のアレクシオスは、

辺境の地ブリテンに左遷された。

ローマへの反感を秘めた部族や、辺境のオオカミの異名を持つ一筋縄ではいかない部下たち。

だが、やっとその地になじんできた矢先に大反乱が勃発する。

抗戦か撤退か――アレクシオスは決断を下す。

 

 

 

サトクリフの

ローマブリテン4部作のうち

「第九軍団のワシ」

「銀の枝」

「ともしびをかかげて」は

1950年代に発表されているけれど、

この

「辺境のオオカミ」は

1980年代に書かれたもの。

 

 

作者サトクリフがスランプに陥っていた時、

西部劇からヒントを得て

書いた作品との事。

 

 

サトクリフの観た西部劇って

なんだろう?と思って、ネットで調べてもわからなかったけれど、

 

さすが読書会。

サトクリフの観た映画は

「カスター将軍」では?

とおっしゃるメンバーが。

 

カスター将軍って誰?ってなってしまった私ですが😅

 

 

 

さて、

サトクリフの

ローマブリテン4部作というのは

ローマ統治時代のブリテン島を舞台とした作品で、

あるローマ軍人の一族の物語が描かれています。

 

 

それぞれの物語は

時代も異なりますし、

それぞれの本で完結なのですが、

 

どの物語にも

同じ一族であることを示唆する

「イルカの指輪」が出てきます。

 

そういうのって読者の心を

楽しませます。

 

 

 

さて、サトクリフの作品の多くの主題は

「生きがいを見失った主人公が
自分の居場所を見つけ、

生きる道を見つけるかということ」

 

 

「辺境のオオカミ」は

主人公アレクシオスは前任地で

百人隊長としての判断を見誤り

多大な犠牲を出してしまって

左遷されます。

 

 

北ブリテン最高司令の伯父の影響力により

出世街道を進んでいたのに

主人公アレクシオスはもう出世は見込めない、

辺境守備隊に左遷されて、

そこにいる兵士たちは

氏族出身の荒くれ者が多く、

まとめるのが難しいと言われていましたが…。

 

 

西部劇からヒントを得て作ったと

書いてあったけれど、

 

 

出世街道を進むエリートが

失敗を機に左遷され、

新天地でうまくいきだした矢先に

再び悲劇的な出来事が起こるけれど、

それを犠牲をともないながらも解決し

最後は自分で自分の生きる道を選んでいく

 

って、

王道ドラマの形だ!

 

文字に起こしたら

この構図だと感じるけれど、

 

 

 

「ドラマみたいじゃん」

なんて

思わずに

ページを開くと

主人公の生きている姿を

主人公のそばで私が見ているような感覚で

読み進めていくことができました。

 

 

時に苦しく

時に誇らしく

アレクシオスと共に心を動かす私がいました。

 

 

 

 

 

この物語はフィクションなのですが、

フィクションの中に

実際にあったことが盛り込まれていることによって

より本当にあった話のように感じます

 

 

物語終盤で

アクレシオスが皇帝コンスタンス1世と対面するシーンがあるのですが、

 

343年にコンスタンス1世がブリテンに立ち寄った史実があるそうです。

 

いい味付けになっているなと感じました。

 

 

 

 

 

 

ドラマでも

嫌な上司やトラブルを起こす

いわゆる悪者役がいるけれど、

 

「辺境のオオカミ」でも

ローマ軍のモンタヌス司令長官、

ヴォダディニ族の族長の次男、コンラの

やったことに対して

 

読みながら

「もう何してんねん!!」と

これ、トラブルになるの目に見えてるやんと

怒りながら読んでいた私。

 


トラブルになってほしくないって思ったのは

そのトラブルの前に

ヴォダディニ族の族長の長男…のちに

族長となるクーノリウスと主人公アレクシオスの

友情が続いて欲しいと思ったから

 

 

 

アクレシオスのマントを得るためにクーノリウストと一緒に行ったオオカミ殺し、

族長であった父が亡くなり、クーノリウスが新たな族長になった日、

その日にクーノリウスの子どもが生まれて…

 

オオカミの死、

アレクシオスの新しいオオカミのマント

 

族長の死

新しい族長の誕生

族長の子どもの誕生

 

 

この物語の中の平穏な時間にも

生と死は隣に描かれていたのだな。

 

 

クーノリウスとの関係は

変わらずにあって欲しかった。

 

それは読み進める中で

叶わないことだとわかってはいたけれど。

 

 


 

 

振り返って考えてみると

「辺境のオオカミ」は

物語が

人生を描いているようにも感じます。

 

 

楽しみや喜びがあったり

悲しみや苦しみがあったり

 

救いなのは

主人公が物事を成し遂げるときに

味方がいてくれたこと

 

 

 

 

1年前に見たオリオンと

今見ているオリオン

 

 

1年前の冬至

と今年の冬至

 

 

「今晩、穀物倉庫の裏で、辺境のオオカミたちは、太陽が再び暗闇から生まれ、翌年も輝くことを願って踊っているのだ」(p80)

 

 

 

 

 

本当に

まとまりきらず書いてしまいました💦

 

 

 

サトクリフ作品の時代年表が欲しい〜♪