ブログネタ:ゾッとした瞬間
参加中25年ほど前、当時18歳だった私は姉と一緒に埼玉県の南浦和のアパートに部屋を借りて住んでいました。高校卒業後、進学も就職もせず、自分が進むべき道を見つけられずに、悶々と過ごしていたある初夏の昼下がり、私は一人自分の部屋のベッドの上で横になりながら、求人雑誌を見ていたのですが、いつの間にかウトウトと眠りに落ちてしまいました。すると、突然激しい金縛りに襲われました。夢の中で部屋が突然まばゆく輝きはじめたと思ったら、身体の上に誰かが乗り、足の方からノソノソと顔の方へと這い上がってきました。私はその時には目を覚ましていましたが恐ろしさのあまり、目を強く閉じていたのですが、なぜか自分の上にいるその「何か」の姿が見えました。恐怖でパニック寸前でしたが、奇妙に思った私は思い切って目を開いてみました。けど、それは閉じているときに見えていたものと変わらないものでした。私はもう一度、目を閉じましたが、やはり見えるものは同じです。さっぱりわけがわからない。私は絶叫したかったのですが、身体の自由はまったくききません。さあ、そうこうしている間にもその「何か」は顔の方へと近づいてきています。「もうダメだ」そう思ったとき、ふと祖母がもし、霊に会ったり、金縛りにあったときは「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」とお経を唱えるといいと言っていたのを思い出し、私は早速それを実践し、何度も何度もその言葉を繰り返しつぶやきました。しかし、結局その「何か」は上まで進んできて私の耳元に顔を寄せてきました。まるで深い海にでも潜ったかのように私は耳の奥に急に圧力のようなものを感じました。と、次の瞬間まさにこの世のもとは思えないほどの低い声でその「何か」はこう言いました。「効かねえよ、そんなの」
私は恐怖が限界を越え、ベッドから飛び起きて絶叫しました。
少しして、落ち着きを取り戻すと、私は金縛りが解けていたことに気づきました。冷や汗で背筋に寒気をまだ感じている私でしたが、まわりの世界は普段と何も変わらない夏の日の穏やかな昼下がりです。
私はだんだんとあれは夢だったんじゃないかと思うようになりました。あれ以来、同じようなことは起きていないので、今ではそうだったんだろうと思っています。けど、あの声を思い出すとき、それは今もはっきりとリアルに耳の奥に残っているのです。