冬物セールと同時に、「梅春物」も
売り場で目を惹きます。
梅春物とは、厚地や冬素材だけど
春らしい色合いの服など、冬から春先
に展開するの商品のことで、服飾業界
用語です。
思い出すのが、「梅春の憂鬱」…。
浅田次郎さんのエッセイ
『 ま、いっか。』の中の一篇です。
女性誌「MAQUIA」に連載された
ファッションの話を含むあれこれを
まとめた本で、とにかく面白い…。
『鉄道員(ぽっぽや)』や『蒼穹の昴』
などの小説が有名ですが、長く
アパレル業界にもいたそうです。
大人の文章で綴られたエッセイに
よると・・・
「着もしないのに何で買っちゃったの?」
と後悔するのが梅春物…。
一方売る側も、
「適用シーズンが短い」
「色が薄いので汚れる」
「冬物セールと比較されるので
割高感がある」
など、悩ましいのが梅春物…。
業界でも「魔物」であり、
「梅春の憂鬱」なんだそうです。
ところが、浅田さんはこの梅春物を
売るのが得意で「梅春次郎」と呼ばれ
ていたこともあるとか…。
梅春物を売りさばくコツ!
「着目すべきはただ一点、色目だけ。」
とありました。
重くてダークな色合い一辺倒になり
がちな冬服に飽きた頃、新鮮味の
ある明るい色を強調して、オシャレ心
と購買意欲に火をつける訳ですね。
そして、着る側へのアドバイスも!
来年も着ようとする根性が誤り。
一、二回の出番であっても、
「高い…」だの、
「寒い…」だの、
「出番が少ない…」だの
言わず、周りがまだ厚地の暗い色で
身を覆っている頃、颯爽と心意気で
着るのが梅春物なんだそうですよ!
この時期、気候との関係で梅春物を
楽しむ期間が短い日本人の心意気の
見せどころなのかもしれませんね…?