先日の色彩文化の講座で、天然の紫
に出会うことができました。

こちらは、染色作家でもある
高橋淑恵先生が、東京湾で採った
紫の色素を持つイボニシ貝で

染めた貝紫色です。

 

東西問わず、昔から高貴な色として
尊ばれた紫。

 

紫は、「プルプラ」と呼ばれる地中海の

巻貝の分泌液で染められていました。

 

1gの染料を得るのに、2000個の貝が
必要だったと言われています。

 

その紫は、古代ローマでは皇帝だけ
が着用を許された衣服の色です。

 

紫は、染料が貴重だったので、一般

には手の届かない色だったのです。

 

地中海沿岸では、貝が乱獲で激減し、
「幻の紫」となってしまいました。

 

ちなみに、紫のパープル(purple)は、
このプルプラ(purpura)が語源。

 

貝内ではレモンイエローですが、

太陽光に触れると紫へと変化します。

★ 楊枝で、貝の内臓のパープル腺を
そっと取り出す。

★右は、取り出して染めた直後。日光に

当たると、左の紫色へ変化していきます。

 

一度発色した紫は、その後は色褪せる
ことはないそうです。

 

これも、貝紫を多くの権力者たちが

求めて止まなかった理由かな?

 

クレオパトラを乗せた帆船の色は、
この貝で染めた紫だったとか…。

 

貝紫色は、ロイヤルパープルとも

呼ばれる赤みの紫です。

 

天然の紫色が生まれる瞬間。

 

合成染料の色とは違った、深みの
ある澄んだ美しさを感じるのは、
海で育まれた紫だからなんですね…。

 

☑色彩講師の検定ポイント
『貝紫(パープル)』

古代に尊ばれた衣服の色して、

下記に記載があります。
◆カラーコーディネーター検定1級
(ファッション色彩)
「ファッションと色彩文化

~コスチュームの色彩史~」
◆カラーコーディネーター検定2級
「色彩の文化史~西洋色彩文化史~」