千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館へ行ってきました。
2月15日は、DIC(旧大日本インキ化学工業)の創業記念日で入館無料デー。
お目当ては、マーク・ロスコの7点のシーグラム壁画が展示された「ロスコ・ルーム」。
絵画を鑑賞するのではなく、体験をするための空間です。
正直、「抽象表現主義」と言われる作品がずっと苦手だった私。
美術館に作品があっても、素通りしていました。
何を描きたいのかわからない、大きいだけで何も描かれていない。
そう思っていたのは、「絵は鑑賞するもの」 という私の固定観念。
ロスコの作品は、観るものではなく感じるもの。
キャンパス一面に単色、あるいは2~3色が塗られただけの色面構成。
主題も形もない大きな絵画。
赤茶の褐色やオレンジの配置のバランスがあるだけ。
部屋に足を踏み入れたその瞬間、
まず、平衡感覚がなくなって、ふらっとする感じ。
そして、何かに圧迫される感覚。
さらに、色のエネルギーなのか皮膚に微小な波動を感じたような・・・?
離れて観ると、色が向こうから迫ってきて、引き込まれて無抵抗になる感覚。
ぎりぎりまで近づいて見ると、色しか視界に入らず、距離感がなくなる感覚。
作家が何を表現したいのかなんて考えることに意味はなく、
作品の前に立ち、空間に身を置いて色に包まれた時、
作品が語りかけてくる何かを、観る人が自由に感じ取ればいい。
そんなことを実感させてくれました。
この部屋に長い時間いる監視案内役の女性に、どんな感じなのか聞いてみると、
「平穏な心でいられ、考え方がクリアーになります。」 との事。
マーク・ロスコは、ロシア出身のユダヤ人画家。アメリカに移住し、活躍します。
マンハッタンのシーグラム・ビルの高級レストランの一室を飾る絵画を依頼され、
この「シーグラム壁画」を完成させるも、オープン前に下見に行き、自ら契約破棄。
作品とレストランの雰囲気が合わないと思ったからでした。
後に、7点の壁画をDIC川村記念美術館が購入し、収蔵されています。
多くの人が、彼の絵を前にすると崩れ落ちる何かを感じると言われるロスコの壁画。
他に、モネやルノワール、ピカソ、シャガール、レンブラントなどの展示も。
村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の表紙の絵
モーリス・ルイスが描いたカラフルな縞模様の作品も。
広い庭園の散策も。 池には白鳥も。 地元の素材を使ったレストランも。
東京駅から、高速バスで80分ほど。
おススメの場所です。