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【あらすじ】
当時女子高生だった泉(有村架純)は、高校生活に馴染めない中、演劇部顧問である葉山(松本潤)に入部を勧められる。泉と葉山はお互いに居心地のいい存在ではあったものの、2人の距離は縮むことなく泉は大学生活を送る。
【感想】
原作を読んでいないので、あくまでも映画の感想です。まず題名のナラタージュ(フランス語)とは回想形式で表現する映画の技法の1つ。
最後まで映画を観終えると、教師である葉山のキャスティングの難しさを感じます。
松本潤さんが演じる葉山は社会科の教師なんだけど、私個人のイメージだと社会科の先生って細身でちょっと猫背で身長は170cmくらい。。葉山のキャラは少し影があるけど、松本潤さんは明るいオーラが強いし体も鍛えて姿勢がいいので、正直言って悩んでるようには見えないです(汗;)
雰囲気だけで浮かぶのは西島秀俊さんとか竹野内豊さんかなぁ。(猫背とか暗いという意味ではなくて、思慮深い無口な印象がある)
泉に好意を寄せる小野役を坂口健太郎さんが演じてるんだけど、大きな古いにぎやかなお家で育った息子という設定なのか(?)、家庭環境は平和に見えるのに、小野の真面目さの悪い面が強調されていて、欧米人っぽい容姿の坂口さんにはあんまり似合わない気がしました。
HPよりお借りしました
葉山は(泉と仲良くしながら)妻を気にして、泉は(小野と仲良くしながら)葉山を気にして…という具合に双方が同じタイミングで想い合うことが叶わず、いつになったら両思いに発展するんだろう…と首を長くして待ちました。ズルズルしてる感じ。
相手を想うからこそ一緒にいたいし、いつまでもトキメキを忘れたくないから長続きするように相手の生き方を尊重する。でも〈愛するカタチ〉は心の変化と共に流動的で、なかなか定まらないのが世の常。
世間的なルールは破ってないけれど心の浮気といえば浮気だし、好きでもない相手を側に置く身勝手さ・残酷さとも言えるし、優しく微笑みながらも嫉妬を抱く依存心や執着の恐ろしさなんかも描かれているように感じました。(川上弘美:著の『ニシノユキヒコの恋と冒険』を思い出した)
松本さん演じる葉山が熱を出した泉のアパートを訪ねておかゆを作ってあげたり、林檎を口に運ぶシーンは笑顔で「ア〜ン」とかやるとチャラついて見えるし、無表情だとムッツリしすぎて気味が悪いし、ふざけるにも演じる距離感が難しいなと思いました。
映像の中では世間体に触れてなかったけど、妻との関係だけでなく葉山の教員という立場から卒業生である泉に想いを伝えられなかった部分はあるのかなぁ?
余談ですけど、私の通った高校の男性教員は最初の授業で『ボクの奥さんは教え子なんだけど…』と正直に快活に話し、『ボクが部活の顧問で卒業までは普通に接していました。プロポーズは3年の進路指導の時に指導室で…』なんて話してくれて、みんなキャアキャア言いながら聞き入ってました。多分、毎年入ってくる生徒に【先に】バラして色メガネで見られない工夫をしていたんじゃないかと思います(笑)。私たち学生からすると、サッパリとしていて親近感がありましたヨ!何より自分にも妻にも周りにも誠実。
話を戻すと、この物語に出てくる葉山や泉や小野のような心情は、誰もが持っているものだと思うけど、ひとりがハッキリしないと相手もハッキリ出来ないからズルズルな関係になっていくし、面倒くさいと思いま〜す(恋愛体質の人だけがハマっていく世界じゃないかなぁ)
それより、部員の柚子(神岡実希)。演劇の本番でメイクをしてもらっ顔が最後にアップになったのが意味深。後に柚子の身に降りかかった出来事が衝撃的でした。とっても可愛い笑顔で、BFもいて悩みなんてなさそうに見えたのに。(岩井俊二監督作品の『リリィ・シュシュのすべて』を思い出した)
泉がひとり路面電車に乗って、窓の外で葉山が見送っているシーンは私的に『ウソでしょ、追いかけてよぉ』と思いました。
オフィスのシーンで懐中時計に刻まれた文字の意味を知った時は、『本当は奥さんとヨリをもどしてなんかなくて、泉の幸せを祈って何処かで独りで暮らしてるんじゃないの?』と独自の理想像を思い浮かべてしまいました。
あの流れだと、会社の同僚(瀬戸康史)とカップルになるのかもしれないけど、もっともっと切っても切れない深い縁で葉山と泉が再会して『この人しかいない!』と確信してハッピーエンドになって欲しかったです。
【行定勲監督作品】
【有村架純さん出演作品】
【坂口健太郎さん出演作品】
(伊藤ちひろ監督作品/行定勲企画プロデュース)
【先生と生徒の物語】