『仕掛人・藤枝梅安』を観ました。
原作:池波正太郎氏、河毛俊作監督作品。
豊川悦司さん・片岡愛之助さん・天海祐希さん・菅野美穂さん他、豪華キャストです。


【あらすじ】

省略



【感想】

テレビドラマは勧善懲悪の時代劇が多いけど、梅安は身内だからといって大目にみるのでもなく、他人だからといって放っておくわけでもなく、厳しさと優しさが中和して心地いいです。人間の距離感が絶妙で、1本筋が通った話だと思いました。

原作を読んだことはないけど、映画を最後まで観終わった時、藤枝梅安(豊川悦司)と彦次郎(片岡愛之助)が仲良しなままでヨカッタ〜とホッとしました。最後のシーンは、(当たり前だけど)年越しにテレビも音楽も携帯もなく、2人が交わす言葉も多過ぎず、なんかいいなぁと思いました。信頼のおける男同士、観ていてほっこりしました。

演技が凄いと思うのは、梅安のお手伝い・おせき役の高畑淳子さんでしょうか。表情豊かで、本当に、“ちょっと頼りない旦那さんを支えてる”…こんな女性が遠い昔に居ただろうと思うし、今も農村を歩くと、こんなノリの人いるよなぁと思います。トーク番組で観る、お化粧バッチリで頭の回転の早い高畑さんが老女役、女優さんってスゴいです。

料理屋のおみの(天海祐希)が赤い鳥籠を眺めている様子は、喜多川歌磨や竹久夢二の美人画を彷彿とさせて妖艶でした。昔、天海さんが光源氏や女信長を演じていたことを思い返すと、これはまた全然違う役で、しかも(役柄の幼少期の影響はあれど)悪女役!見応えがあります。ただ、荒んだ生活臭とか男性を袖にするフェロモンとか隠れた純真さを醸し出すのはご自身と役のせめぎ合いなのかなぁとも思います。(遊女とお茶汲み娘の違いかもしれないけれど)お皿が欠けていても平気な女主人というより、芯が強くて清廉潔白なオーラがメッチャ出てます。

おみのの昔を知る男役でお相撲さんみたいな風貌のすごいハマってる俳優さんがいて、だらしなさやスケベな感じが天下一品‼︎“…誰だろう?この俳優さん…”って目を凝らしたところ、六角精児さんじゃないかと。。(違っていたらごめんなさい)個人的に大拍手拍手笑いです。
菅野美穂さんや柳葉さんも出てるけど、演じる年齢層が上がって『えーっ、もうそんな年頃の役⁈』月日の流れを感じました。
富士山を背景とした、港町の様子が美しかったです。藤枝梅安の家の外観って、『たそがれ清兵衛』(藤沢周平原作)の家に似てるなぁ、同じ撮影場所かな?
表向き気弱で優しい人が実は悪事を画策して、表向き悪事をする人が実は優しい…こういう人間の裏表って、歳を重ねる中で感じる時ありますよね。
話の始まりから終わりまで、絵の刷られた版画の物語をめくってるようで、懐かしい感じがしました。


 

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