⑳
峠杣一日・著
奇々怪々(ききくわいくわい)、萬把党(まんぱたう)現る!
このところ、世間を震撼(しんかん)させてゐる謎の一団。
すぱっところり。
すぱっところり。
「あんた、もう首がもげてんだよ!
死んでんだよ!」
と言はれて漸(やうや)く御陀仏(おだぶつ)した者もあった程に、皆鮮(あざ)やかに首を刎(は)ねられてゐた。
無論、萬把党の首領(しゅりゃう)は兇興翁(きょうきょうをう)。
そして演説(えんぜつ)を打(ぶ)つ梟男(ふくろふをとこ)、兇薬(きょうやく)の姿があった。
「同志諸君!
彼奴等(きゃつら)に天誅(てんちゅう)を!」
「萬把(まんぱ)!」(さうだ!)
満身(まんしん)で同調(どうてう)する盟友(めいいう)達が、叫ぶ。
萬把は萬%で、よろづパーセント。
須く(すべからく・当然)斯(か)くあるべしの意らしい。
「天祐(てんいう)、我等にこそあり!」
「萬々把(まんまんぱ)!」(全くもって!)
「いざゆくぞ!
彼奴等(あやつら)をこの地上から、一人残らず消し去るのだ!」
「萬把!」
「萬把!」
「萬々把!」
秘密のアジトから、闇夜(やみよ)の鉄砲(てっぱう)の如(ごと)くに飛び出す黒衣(こくい)の一団。
しかし、標的(へうてき)はいとも容易(たやす)く見つかるのである。
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
〽️
いやさかえ
いのちいやちこ
さいはひよいち
まほらとこいは
みつのたま
南無あれかし大明神
南無あれかし大明神
南無あれかし大明神
つづく。