⑤
峠杣一日・著
あれ、天山(あめやま・氷ノ山ひょうのせん)に降りて来たのは一羽、妻夫鳳凰(めをとほうわう)の夫の方の鳳(おほとり)だね。
山頂から氷輪の泉(ひょうりんのいづみ)へと向かって、すうっと姿を消したよ。
勿論(もちろん)村人達には見えず、経法印(きゃうほふいん)だけが氣付いて居たんだね。
おっと、村人達には見えて居ない存在が他にも。
何時の間(いつのま)にか村人達に雑(ま)じって経法印のお話に耳を傾(かたむ)けて居るのは、峠杣一日翁(たうげそまのいちにちをう)、其の肩には豆鼕大明神(とうとうだいみゃうじん)、そして一日翁の横には蓮権現(はちすごんげん)だよ。
是是摩尼摩尼百事如意(これこれまにまにひゃくじにょい)、摩尼の御山(まにのおやま)の喜見山(きけんざん)に蓮権現転何(ころびなんぞ)を迎えへに来た一日翁とお豆さん(おとうさん)、天山へと足を延ばしたみたいだよ。
ははあ、一日翁の手には、徳利瓢箪(とくりへうたん)が下がってゐるね。
すると経法印、俄然(がぜん)張り切っちゃうよ。
次は、中中(なかなか)聞けない「運」のお話だよ。
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
いちよあれかし、さいはひよいち。
まほらよいちそはか、南無あれかし大明神!
つづく。