『なんぞころびやおき 大極楽本尊郷篇』
⑱
峠杣一日・著
「本っ当(ほんっと)、忌(い)まゝゝしい連中(れんちゅう)ねっ!」
「とっとゝ、一匹残らず死に絶(た)えいっ!」
迷妄宝船(めいまうたからぶね)は迷妄爆弾否800(めいまうばくだんいなはっぴゃく)と迷妄俵弾(めいまうたはらだん)の集中砲火(しふちゅうはうくわ)を、大骨肉六地蔵(だいこつにくろくぢざう)に浴びせ掛ける。
蓮権現転何(はちすごんげんころびなんぞ)一行(いっかう)にとっては地獄の地蔵(ぢごくのぢざう)であったが、如何(いかん)とも石像(せきざう)の身では何時迄(いつまで)もは持ち堪(こた)へられない。
やがて六体の大骨肉地蔵(だいこつにくぢざう)の手足はもげ落ち頭は吹き飛び、総身(そうみ)砕(くだ)けてばらゝゝに飛散(ひさん)して了(しま)った。
「様(ざま)あ石塊(いしころ)っ!」
「止(とゞ)めだっ!」
「永遠に死ねえっ!」
迷妄宝船(めいまうたからぶね)入魂(にふこん)の爆撃が、一行(いっかう)に襲(おそ)ひ掛かった。
万事休(ばんじきう)す!と思ひきや、爆弾は又(また)もや一行(いっかう)に届かぬまゝ、其れも爆発すらせず空中に掻(か)き消えたのであった。
「やれ、何とか間に合ったか」
と、息を切らして胡蘆駒福兵衛(ころこまのふくべゑ)の声。
おゝ、瓢箪型(へうたんがた)の迴門號(くわいもんがう)が直立して月虹の水(げっこうのみづ)の噴水(ふんすい)となり、月虹防壁(げっこうバリアー)で一行(いっかう)を護(まも)ってゐるのだ。
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つゞく。