8年前にデートした男は完璧な男だった。
その人とは2回デートして、相手にされなかったのかすぐ連絡が来なくなった。
今もSNSで繋がっているけど、
30代前半の若さで、会社の役員になっていた。
メディアで見かける美人と結婚して都心のタワーマンションに住み、子供を二人持ち、高級車にのっていた。
彼も彼女も、全部持っている。
神様がくれたデートのチャンスを生かせていたら、
もしかしたら彼の隣にいるのは私だったのではないかと今でも思ったりする。
私は子供の頃から自分のルックスにかなりコンプレックスを持っていて、結局最終的には仕事になって、自分を生かす手段にしてしまうほど執着があった。
子供の頃から成長が早く、話すのも、運動神経も良かった。いつも頭がいいと言われた。
正義感が強く真面目だった。努力すれば認めてもらえると信じていた。成績はいつも良かった。全部一番ではないが、全部上位だった。
そう、ルックス以外は。
太っているわけではない、スタイルはかなり良いと言われていた。
普通に顔の造形が良くない。最も努力しようが無い領域だ。悔しかった。いつも悔しい想いをしている。
矛盾しているが、これは私を救う呪いだ。執念が強いほど、自然とエネルギーが生まれるもので、少しも苦じゃなく、他のことよりもその領域に詳しくなる。
私はその特定の領域に感しては、なんの努力もせずにいつも一番なのだ。
なぜなら一日中考えているから。仕事は順調だ。
ある日家族に、ルックスに自信が無いのはさておき、何故そんなに自分の中身に自信があるのか?と笑われた。
夫にも言われた。
自分のことを内面はいいと思っているようだけど俺は内面に不満がある、と。貴女は性格が悪い、と。
話を戻すと、
8年前の男とは、インターネットで知り合った。
インターネットで出逢うなんて、ほとんど考えられない時代にだ。
普段の私の交友関係では出逢えない生い立ち、コミュニティで育った人で、一言で言うとエリートだった。
海外生活が長く、日本では恐らく一番賢いとされている、私学に通っていた。
私は田舎育ちのお登り様、家も貧しいのでもちろん国立大をでて、手堅い会社に勤め、質素に暮らしていた。
まずチャットをしたのだけど、数回のやり取りで一瞬で話が合う、楽しい、と思える人だった。
あっちもそう思ってくれたようで、電話番号を交換して、2月ほど濃密に連絡をとっていた。
ラインをしたり、電話をしたり。
自分たちの事を語り、いろいろな話をした。聡明で楽しく論理的。
私は話すのが早いのだが、この人もかなり話のテンポが早くエネルギッシュで、自分にとても似ていると思った。
お互い飾っていないのに、すごく楽しかった。低くて可愛らしくもない私の声や話し方を、すごく印象に残る、好きな声だと言ってくれた。
運命の人だと思った。
そして遂に彼から、
会いたい、と連絡がきた。
ラインだったけど、しっかりと色っぽい雰囲気を感じた。
素敵なレストランも予約してくれた。
でもだめだったのだ。
デートはうまくいかなかった。次に続かなかったのだ。
私はしくじったのだ。
いや違う。
しくじったと言うより、最初から土俵に上がってなかった。会ってだめだったんだから、結局、ルックスのせいだという結論になる。
たまたま、特殊なルックス抜きの出逢いだったからここまで心が近付いたのだ。
相手に会ったとこがないのに心が通い合うのって、最高にロマンチックだと私は思っていて、相手も思っていたはずだ。
中身の相性がこれほど合うなら、外見がそこまで好みじゃなくても乗り越えられるんじゃないかと。好きになってもらえるんじゃないかと。
そんな夢物語はやっぱり存在しなかったのだ。
会うまではかなりラブラブだっただけに、
そこまでルックスがダメだったのかと、余計に傷付いた。
今も傷付いている。
私の内面は、エリートの素敵な男性を射止めるのに十分だということも証明された。
結局私はルックスがダメで、理想の相手とは結婚できなかったのだ。
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