あまり暑いので今日も家にて過ごすことにした。昨日、ベランダと窓のサッシ交換で
半日かかり、かなり疲れたので今日は焼肉にした。何が疲れたかと言うと、半日ベランダも
ドアも開け放しですごい暑さとなり、騒音と片付けで疲れたのだ。家にいながら熱射病寸前
になってしまった。首の左右と脇の下に保冷剤を入れてなんとか助かった。ポエム(cocoring)
家の中いながら罹る熱射病
連載小説「幸せのパズル3」その19
「ど、どうしたんです!」
「産まれた…。産まれたんです」
「えっ、何が」
実雄が指さす部屋から、ミャアミャアと何やら鳴き声がする。エルが仔犬を産んでいたのだ。
「わぁ、これは」
真っ白なフリースの毛布がぐちゃぐちゃになり血や何やら汚物に塗れている。
「救急車! 救急車!」
叫ぶ実雄さんの言葉を、犬はダメなんです。と否定しながら恭一も頭の中が真っ白になっていた。こういう場合、陣の助のほうがしっかりしている。
「しかし、とにかく医者だ、実雄さんがこの前予約入れたと言ってた動物病院はどこ!」
実雄さんはもうオロオロとするばかりだが、エルが仔犬を優しく舐める姿に少し気持ちが落ち着いたようだ。
「この通りの並びにあるんですよ。アニマルクリニックって。電話番号控えてあるから」
思わず詰問する形になる。
「どこにあるの」
「冷蔵庫にマグネットで止めてある」
陣の助が台所の冷蔵庫の扉を確認する後ろから、泣きそうな声で実雄さんが言った。
「明日は健康診断に行こうと思って予約も入れてたんだ」
産まれたばかりの仔犬がエルの乳首に吸い付いている。なんと六匹。陣の助が走って連れてきた開業したての獣医さんはエルの出産に張り切っている。最近開院したばかりで出産は初めてのことだと言う。
「いやぁ、なんて可愛いんだ」と言いながらテキパキと産後の処理をして、それでも六匹が全部産まれるのには数時間の時間を要した。
真新しい毛布の上でゆったりと横たわるエルの乳首に喰らいつく六匹の仔犬。
後から駆けつけてきたカナエの指示で実雄さんはやっと血だらけの服を着替え、男たち三人と獣医さんがビールで祝杯をあげたのはなんと深夜も三時を回っていた。
そおっと仔犬を抱え愛おしそうに撫でる実雄さんをよこたわるエルがじっと見つめている。その目は実雄さんに全幅の信頼をしている優しい目だ。
「実雄ちゃん、もうメソメソしてる暇はないのよ。あの信頼し切ったエルの目を見て! エルちゃん、頑張ったね! 実雄ちゃんよかったね」
言葉の半分は涙で濡れた。