花火 | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

昨日は関東方面では各地で花火があったようで、従兄弟の住む県でも

花火が見られたとか。マンションの屋上で友人たちとワイワイしながら鑑賞したようだ。

「福岡でもあるんじゃないの?」と言われて福岡では市内ではほぼ全部中止よ。と答えた。

名物だった「大濠公園花火大会」は騒音の苦情で中止。「ももち浜花火大会」も福岡ドーム

近辺で野球と重なれば渋滞になり近辺の苦情で中止かな。花火は郊外の電車や車で移動するような場所になった。

最近はそういうクレームが多い。

我が家近くの公園で行われていた幼稚園の運動会も「やかましい!」と近くの住人からの

クレームで中止。神社で毎朝6時に鳴らされていた太鼓もクレームで中止。なんとも住みにくい

世の中だ。祭りの合図の空花火も上がらなくなった。寂しく生きにくいなぁ。ポエム「cocoringの部屋」

 (今日はあっさりと、素麺とゴーヤ)

遠花火闇に音なく開き散る

連載小説「幸せのパズル3」その16

「このこはラブちゃんというんですよ。飼い主の方が海外赴任になり、やむなく手放されたという愛情いっぱいに育った子です。今、二歳で、ここに来たばかりなんですよ」

 有村さんの耳には係官の言葉も届いてないようだ。もっぱらかなえと恭一が聞き役になった。

 最近は犬の譲渡もきちんとした手続きが必要だ。なぜなら簡単にまた放棄する人間もいるからだ。だが、有村さんの場合は即決だった。なぜなら有村さんがこの子を今は無き愛犬エルとしか思って無くて、エル、おまえ、こんなとこにいたのか。などとすっかり自分の犬と思い込むほどに興奮してしまったからだ。

 様々な手続きを終えて帰宅の車の中にはラブ、今やすでにエルが有村さんの膝に当たり前のように座っている。なんでも元の飼い主は独身男性でラブちゃんを本当に可愛がっていて、年に一度受けるワクチンなどもきちんと済ませており、もちろん狂犬病などあらゆる予防接種も受けていて、手放すには断腸の思いがあったようだ。

「帰国するまで預かっていただく人を探していたのですが、友人は皆マンションなんですよね、マンションでは大型犬は飼えなくて、万一飼えても、コンクリートの階段では足をやられてしまうんです。私としてはなるべく土がある場所で過ごさせてやりたいんです」

 そんな無理な言葉を残して別れたラブだったとかで、これはまるで有村さんを待っていたような天の采配に思えた。

 有村さんの膝に甘えて抱かれているラブ、いやエルを見ながら、カナエの心は満足に満たされていた。よかった…。この子はきっと有村さんの心を支えてくれるに違いない。

 ホームセンターが見えたとき、有村さんが叫んだ。

「ねえ、海星さんとやら、ちょっとあそこに寄ってくれない? この子のペットフードやペットシーツやら色々いるんだ。頼むよ」

 

 今、IO倶楽部ではその一角のスペースにゲストルームをリフォーム中だ。その費用は有村さんが頑として主張する例の拾得物のお礼としてカナエたちに渡された二〇〇万である。有村さん曰く使い道のないお金がどんどん貯まっていくそうで、死ねば、子供も身よりもない自分の遺産が全部、国のものになるという、それが面白くないらしい。どう辞退しても聞く耳を持たなかった。有村さんにとってのラブラドールとの出会いは、まさしく、エルの再来だったのだ。

 期しくもエルの胸にあった白いハート型の胸毛と同じものがラブにもあった。

「こんな生きる気力もない俺を、他人のみんながここまで面倒見てくれて、エルまでも探してくれたんです。このまま死ぬわけには行きませんよね。これはきっと郁美が俺に生きろ、と言ってるんですよね」

 エルの太い首に両手を回し、おいおいと泣く有村さんの涙をエルがベロベロと舐める。

 その様子を見るカナエたちも思わずもらい泣きだった。IO倶楽部には元々ゲストルームが欲しくて検討していたところだった。倶楽部の誰かにお客があっても泊まる場所が無く、どうしても欲しい部屋だったのだ。思わぬ臨時収入で倉庫として使っていた一画をリフォームできた。

 たまに有村さんも泊まることがある。必ずエルが一緒だった。