このところ、私の着るものは全部スポーツ仕様のものばかり。私がジムに行き出した頃は
70歳くらいだった。それからつかず離れずリハビリしたり体育館にかようことが多く
ダンスも然りで、何より気安く普段はadidasやNikeやそんなものばかり着ている。
だからたまに奥様方とのお付き合いがあると困る。
この夏、骨折でそんなお付き合いがなくて寂しいことでもあるけれど、着るものの
心配なくて安心。ポエム「cocoringの部屋」
朝顔を大切そうに抱える子
連載小説「幸せのパズル2」19
19山口で看護師をしているカナエの娘の夏子が最近、出会いがあって病院に出入りしているケアマネージャーの男性とお互い子持ちながら再婚すると言ってきた。包括センター勤務の彼と頃合いを見て福岡に転勤することを考えているらしい。
少し前、夏子と長電話をしたとき、IO倶楽部の話をした。夏子は佐知子には子供の頃から可愛がってもらっているしでまるで身内のようなものだ。だからつい佐知子の娘婿の輝喜がシェアハウスを言い出して盛り上がったことも話したのだが、夏子は早速そのことを再婚相手に話したんだそうだ。老人問題と前向きに取り組んでいる彼は大ノリ気になりそのこともあって福岡転勤が加速したらしい。
「彼がね、凄いって言うの」
「なんのこと」
「だからIO倶楽部のことよ。まず、そんなイケてる暮らしを前向きに考えているシニアはそうそういないって言うわけ」
「そりゃぁ、そうかもしれないけれど、まだ何も具体化してないし」
「いやいや、だから是非ともシェアハウスまで漕ぎ着けて欲しい! なんて彼の方が張り切ってさ」
「だから、まだ絵に描いた餅みたいなもんなの、何も具体化してないのよ」
「わかってるわよ。でもね、だからこそお母さんには後ろから後押しする手助けもいるんじゃないかって言うの。私がお母さんのそばにいてあげる方が良いって彼が言うのよ」
つい電話口でも大きな声を出す。
「だから、お母さんはまだ、大丈夫よ」というカナエの言葉にマウントを取るように、一声高く夏子が言った。
「そうよ、まだお母さんは大丈夫よ、ただし、どんなに頑張っても少しずつ老化はしていくの、お母さんの姿勢は立派! でも老いて行くのよ。人間だもの、仕方がないことなの
だから、私はやっぱり福岡に帰ろうと思う。彼の両親はもう他界してるのよ。だから彼がお母さんをもっと大事にしようって言うの。手助けできないかって言うの」
グッと来て堪えていても涙がじんわりと込み上げやがてぬるぬると頬を濡らす。
「千夏ったらさぁ、彼の感化を受けて介護の勉強をするって言い出したの。おばあちゃんの役に立ちたいって。おばあちゃんの面倒見るらしいわよ。おばあちゃんが好きなんだって」
もういけない、涙が滝のように流れてきた。