昨日の雨ばかりの日に変わり今日は晴れ。今日で骨折4週目にて
レントゲンでした。今日は車椅子ではなく、病院内もノルディックの杖で歩きました。
先生から「歩いてますね」と言われて、まぁ、復帰の意欲を感じてくれた見たい。
結論として順調。また2週間後のレントゲンを予約。順調ならばコルセットが外れます。
やっとここまで来れて感無量。「ポエムcocoringの部屋」
梅雨明けの早くも聞かる忙しなさ
連載小説「幸せのパズル2」その17
最近は梅雨がない。あるとすればゲリラ豪雨だ。突然の黒雲にバケツをひっくり返したような大粒の雨や雷に見舞われるのだ。
「最悪! おかげで水浸しになったよ」
佐知子のトレーナーを借りて着替える。差し出されたタオルで頭を掻き回すように拭いた。最近はまだ卓球のできない佐知子とのお喋りはもっぱら佐知子の家である。
「カナエは髪も多いしショートだからそれで済むけど、私なんてそれだけ濡れたらちぢれ毛でぐちゃぐちゃよ」
「そうやね、佐知子の髪はウエーブがあるもんねぇ、けど私だってどこか良いとこの一つくらいないとね」
カナエは最近のグレイヘアを気に入っている。思い切って染めることをやめたら毛質が変わった。
「カナエの髪質はお父さんの遺伝なんでしょ? ふさふさで羨ましい…」と言いながら
「あ、そうだ、これね」と佐知子が食卓の隅に手を伸ばし小洒落た箱を手に取りカナエに差し出した。
「このシャンプーだけど使ってみてくださいって」
「え、これシャンプーなの」
「そう、海星がさ」
と言いながら箱を開け始める。
「アザミ美容室にこのシャンプーのメーカーの営業マンがセールスに来て、是非使って欲しいと言って試供品を置いていったんだって。ママがお客さんに使用する前に使ってみてくれないかって」
カナエは涼やかな水色の容器に入ったシャンプーを手に取って蓋を開けると匂いを嗅いだ。
「いい匂いね。使ってみても良いけど。ところで最近の海星君はどうなの?」
「うん、三日ほど前に行ってきたのよ。その時にこのシャンプーを貰ったんだけど、真面目にやってるみたいよ、ミモザのママも大助かりだって言ってた」
「そりゃ、良かったわねぇ」
「だって、高校の頃から甘木の実家の美容室でお母さんのアシストしてたから手際がいいし、体型もスリムで顔だってほら、今風のイケメンだから、最近は若いお客さんが増えたって喜んでいたわ」
「良かった良かった」
「そうよ、何しろカナエがオレオレ詐欺に遭うところを咄嗟の判断で更生に導いたんだから」
「何よ、大袈裟な」
「大袈裟じゃないよ。あの時のなけなしのカナエの五千円が一人の若者を立ち直らせたのよ」
言われてみればこれも不思議な出会いだった。ひとたびボタンをかけ間違えれば犯罪にでもなりかねなかった。それはカナエも実感している。けれど、あのときの海星の目は濁ってはいなかった。カナエの判断で海星の人生は大きく別れてしまうところだった。あのとき警察沙汰にでもしていたら…。それを考えるとカナエの背筋に冷たいものが走る。あの子の目を信じた咄嗟の判断が間違いではなかったことに安堵しているのだ。今ではまるで孫のように可愛い。暇を見つけては頼みもしないのに自転車を飛ばして畑に行っては草むしりなどしてくれている。そんなときつくづくと思える。
出会いって不思議