梔子 | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

このところ、ずっと曇天で時折雨。まぁ、梅雨だから仕方ないけれど。

6月5日に意識を失い転倒して、結果、骨折しずっと、ほぼベッド生活だったが

今回のことで助けられたことの一つにブログがある。どんなに痛くても

ベッドから起き出してブログを書いたこと。読み返してみればきっと

「痛い」「痛い」ときっとそんなことばかり書いていたに違わないが、

そうして吐き出しては助けられた。

また、一人暮らしだったなら、間違いなく入院だったけれど、同居の友人に支えられて

自宅療養にしたこと。当初のほぼ1週間は激痛でベッドから起きることもできず

入院ならば100%、オムツの生活だったと思う。わがままにも友人を頼り自宅療養ができたこと。

友人には心から感謝している。ポエム「cocoringの部屋」

梔子はそぼ降る雨に香を放ち

 連載小説「幸せのパズル2」15

「実はね、あのクリーニング店は大野の借家なのよ」

 また、驚く羽目になる。大野と言えば土地持ちでは知られてはいるがさまざまなところに土地があるのかと一様に驚いた。

「でね、大野の家としてはもう他人には貸したくないということで、よければあの店を何かに有効活用できないかって相談されてね」

「それどう言うこと?」

「うん、それでちょっとみんなの知恵を借りたいんだけどね」

 さらに佐知子の話は続いたが、結局は佐知子の独り暮らしを大野家の嫁になった里沙が心配してるとかで、最初は余計なお世話、と突っぱねていたけれど、今回はどうにも佐知子の分が悪くなった。

「私が階段から落ちて骨折したじゃない、手元に電話がなくて半日は床に転がったままだったの、私がスマホにも電話にも出ないことで心配して訪ねてきた里沙が見つけてくれて大騒ぎになったもんで、もうお母さんに独り暮らしはさせられん、と言うわけさ」

 そうやなぁと全員が身につまされた気になった。陣の助が口を開く。

「あのときは、里沙ちゃんから俺にも電話があって、正直驚いたもんねぇ」

「そうそうあのときは大騒ぎしたよ」

 カナエも里沙からの電話を受け、突然音信不通になった佐知子のことを相当心配して卓球仲間にも問い合わせたりしたのだが、半日は階段の下に転がっていたと知り愕然としたものだ。

「今回、浅田クリーニングの場所が空くことになって、里沙の旦那の輝喜が提案したとかで、シェアハウスにリフォームしてお義母さんたち、つまり私たちに使ってもらえないだろうか、って」

「えぇっ! シェアハウス?」

「そうなんよ。輝喜はIO倶楽部のことをかなり買ってくれててさぁ」

 IO倶楽部。すなわち「いけてる大人」の頭文字をとって恭一が名付けたのだが、いつの間にかIO倶楽部は四人の代名詞になった。

「輝喜が言うのに、IO倶楽部はこれからのシニアの生き方を先取りしてるって言うわけ。ねぇ、どう思う?」

「まぁ、突然のことやからなんとも言えんけどなぁ」

 恭一の言葉にカナエが口を挟んだ。

「恭一さんにはもってこいの話じゃないの、たった一人で財産を受け継ぐ人もいないし

いっそ、家を処分してシェアハウスになれば、介護ホームでは無理なペットも飼えるだろうし」

 陣の助も乗り気な声をあげた。

「そこに佐知子さんも入るなら、俺は今の介護ホームを出てそこに乗り換えるよ」

 カナエにとっても今までの孤独からの解放を思えば悪い話ではない。

「まるで夢みたいな話だけど、そうトントンと行くかはこれからの課題やな」

 恭一の言葉にみんなの疑問も詰まっている。一見して楽しいように思えるけれど、さて、これから一直線に老いに向かう四人が果たしていつまで元気でいれるのだろう。自然に全員が無口になった。