今日は魚屋さんで買う「握り寿司」でした。大きな魚介類を扱うこのお店で握る
お寿司はとても美味しくて、たまに買います。痛み止めの服用が連日のこの頃。
流石に胃がおかしくなりそうで、今日はあっさりと。ポエム「cocoringの部屋」はこちら
頬ばれば別腹の味握り寿司
連載小説「幸せのパズル2」その12
夜になり、ごく当たり前の不安がカナエの胸を半分以上まるで分厚い雲が広がるように塞がってきた。
「ねぇ、大丈夫と思う?」
カナエの不安そうな物言いに佐知子は電話の向こうであっけらかんとしている。
「何が」
「だって、一応、海星は私を騙してお金を取ろうとした子だよ」
「二日も食べてなければついふらふらとそんな気を起こしても仕方ないと思うよ。って言うかその相手がカナエだったからさぁ」
「えっ、何で」
「だって、カナエのお人よしは顔に出てるもん、いかにもこの人なら助けてくれるって思ったのよ」
「でも、一応、オレオレ詐欺をしようとしたんだよね」
「そうよ、悪事に手を染めようとしてカナエから諭されたこと、そして、詐欺とわかっていながら五千円を握らさせてくれた。私はそのときの海星の気持ちを思うと堪らないよ。後悔は身にしみてるはず。もう決してしない、と思うよ」
「そうねぇ。信じても良いのよね」
突然、話が飛んだ。
「カナエ、鬼平犯科帳、見てないの?」
「えっ 見てるけど」
「なら分かるでしょうよ。一時は悪事に身を置いた人間が吉右衛門の演ずる鬼平の信頼を受けて真っ当な人間になるって、あれと同じじゃない、温情を受けて二度と悪事には手を染めないと誓う、おまさやそれから猫八の演じてるおやじがさぁ、良い味出してるじゃないの」
思わず頷きながらも吹き出しそうになった。佐知子の鬼平好きは筋金入りだ、何度も何度も再放送を見ている。しかし、確かにそうだわ。海星を信じよう…。