朝、目覚めたら素敵なカードが!いつまでも長生きして!と言われて
その気になりましたよ。息子たちからもそれぞれにプレゼントがやってきました。忘れないでくれありがとう!母の日と俳句会が重なりました。今日も一日楽しみます。ワクチンの副反応からの脱出でなんとか復調です。
 母の日に母の幸せ実感す
連載小説「蒼の記8」
「修司、俊 (しゅん)だよ。須藤俊太郎」
 ちょっと声を張り上げて言うと、修司の顔にうっすらとはにかんだ笑みが浮かぶ。ああ…。と声にならない声で俊太郎の視線を眩しそうに避けた。
 やっぱりわかっていない。正気がない目をしばたいて俯く。
「俺、そんなに変わった? まさか忘れてないよね」
 もぞもぞとした曖昧な返事が返ってきた。
「はぁ、忘れてはないと思うんですが…」
 と言ってしきりと首を横に振る、俊太郎は持参した高校時代の写真を修司に見せると「ほら、これがおまえ、これが俺だ」と指差した。みつきと自分、そしてラガーシャツの修司が笑顔で写っている。
 修司はそれをどうやら息子の篤のことかと勘違いしているらしい。
 写真をじっと見つめながら、篤…。とつぶやく。
「そうか、篤くんもラグビーしてたのか、どうりで良い肩してると思った。篤には一週間ほどまえにリーフで会ったよ。そこでおまえのこと聞いたんだ。今俺が言ってるのは篤のことじゃなくて、修司、おまえのことだ。インターハイでおまえの俊足で決めたゴールで日本一になった、あのゲームのことだよ。おまえ、まさか、忘れてないよね」
 そこまで話しながら、修司の顔になんの変化もないことに気付いた。
 芝生に膝をつき修司の顔を目の辺りの置くと、腕に手をかけた。
「おい、なにか言いたい事あったんだよな。みつきが死んだ後、何度もしつこく電話をくれたじゃないか。あのとき俺はおまえの話を聞こうともしなかったが、ほら、25年前だよ、思い出してくれよ。俺に言いたい事あったんだろう、今、言えよ。今なら聞いてやるよ」
 思わず修司の肩を揺する。修司はされるままになりながら言う。
「さてと、言いたい事…。なんだっけ」
 救いを求めるように岡田さんを見上げた。
「桜木さんお疲れのようですから、今日はここまでで」
 岡田さんから声が掛かり俊太郎は諦めて立ち上がると膝についた芝草を両手で払う。
「おまえ、しっかりしろよ、きっとまた出直すからな」
 修司の口から、うぅと低く呻くような声が漏れた。
 確かにそれは「もう来ないでくれ」と言っているように取れた。
「修司! 俺のこと忘れるわけないよな、本当はわかってるんだろ。今更、ないことにしようなんてそんな虫の良い話はないんだ」
 思わず口を突いて出た言葉に岡田さんのストップが掛かった。
「これ以上は桜木さんが疲れますから、今日はこの辺で…」