立夏 | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

GWの最終日は雨。今日もお出かけ無しで家でゴソゴソやるかな。
先日息子の家の洗面所で緑の苔と藻が入った水槽を見つけた。「いいねぇ、メダカでも入れたら」と言ったら金魚の写真が送ってきた。いかにも偽物とわかる金魚だけど、まぁいいかぁ。
 手をのばす指先染まる立夏かな
◎連載小説「蒼の記憶1」
 俊太郎(しゅんたろう)がリーフに立ち寄ったのは単なる気まぐれではない。だが、別に今日でなくとも良かったことではあった。心の中に掬ったわだかまりは時を経てもそのまま消えることはなく、いつの日かは必ず修司と会わねばとは思っていたが時が経つにつれ億劫になっていたことも事実だ。赤坂通りの欅が晩秋の冷たい風に舞い落ちてはかさこそと赤レンガの舗道の片隅に追いやられ、街じゅうが落ちかけた夕陽色に染まる、なんとなく郷愁を呼び起こすようなそんなとき、今日ならば会ってみようか、と唐突に胸がざわつき思いついたことだった。
 修司とはみつきの葬式以来会っていないから、かれこれ二〇年、いや、俺が来年で五〇歳ということはなんと二五年近くになる。歳月の流れが決して許すことのない憤りを忘却へと押しやり、今は自信はないものの、心の整理はついていると思っている。いつかは和解しなければと思っていたが、今がそのときかもしれない。頭の隅にこびりついている忘れようのない記憶が何度となく蘇るたび、墓まで持っていくことではないと思いつつも今更のような気がしてどうしても足が向かなかったのだが。