友人から「陣中見舞」のチョコが届きました。珈琲を煎れてひとつまみ。
心の鬱積がほぐれていくのがわかります。さて、今日は我が家3人でいつもの
お店でモーニング。ささやかな楽しみを見つけて秋をもう少し楽しみたいです。

珈琲とチョコにほぐされ秋惜む
◉連載小説「医と筆と」8
五日過ぎてもそよの消息は分らなかった。町方の助けも借り、川向こうの鳥越村から小梅村までも足を伸ばし、そよの消息を尋ね廻ったがそんな女はいないという。町方の話では、もしや川に浮かんではいまいかと、船頭たちにも目配りを頼んではいたというがそんな気配もない。
「縫合した後の糸も抜かぬままです。あれほどに乳も張って苦しいに違いありません、乳にしこりでもできぬかとそれも気掛かりで」
「手は尽くしておるのです。赤児を産み棄てるとはよほどのことじゃ、心配しても仕方がない、あとはそよさんが自分から出てくることを待つしかないでしょう」
吉乃は暇をみてはきよみ長屋へと通う日々が続いた。亀吉は、かめ、かめと呼ばれて、お店(おたな)の誰彼となく抱かれている。お千代の乳で手足に幾分ふっくらと丸みがついてはきた。
「お腹を空かせてもすぐに疲れて吸うのを止めるんですよ」
お千代が不安げに顔を曇らせた。鶴坊に比べると吸う力が遥かに弱く、右腕は動くことはなくだらりと垂れたままだった。