きのこ | ryo's happy days

ryo's happy days

思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

昨日は毎年1回の昔の生徒さんとのお茶。本当に楽しくて、なにより生徒さんが温かい。よちよち歩きの私につきあってくれて..。私も長生きしなければ〜なんて思いました。さて、今日は午前コーラス、そして午後からシニアジャズダンスですが、最近は身の程を考えて無理せず、コーラスを休みます。午後のダンスは送迎してくれる友人に甘えます。今、恋の片道切符を踊ってます。私はほぼ見学。雲ひとつない秋晴れ!
 お土産の茸白米の上に置く
連載小説「代わり筆・上」31
「新内で流しておれば、いつの日かせめて愛しいお方の耳に届くやもと、こうして流して歩いているのだと申しました」
「して、その文は」
「はい、ここにございます」
 懐から大切に取り出した文は蛇腹の折り目が細かくついており、丁寧に折り目が伸ばされて二つに畳んであった。
「拝見いたしましょう」
 吉乃は手を伸ばし文を受け取ると丁寧に開いてみる。
「見覚えがありましょうか」
 文を持つ吉乃の手が細かに震える。
「はい、この文は確かに私が書いたものです」
 左衛門は大きく頷いた。
「この文は、確かに岡野屋に呼ばれましたおり、花魁はまゆうさんから頼まれ、私がしたためました。はまゆうさんはそのときは、さる大店のご主人との身請け話が決まっておりまして」
 両手を合わせたはまゆうの小さな唇から、囁くような声で言われたのだ。
「おかさんにも内緒でとどけたいと。おがみいいす。目をつぶっておくんなんし」
 見開いた目いっぱいにこぼれ落ちそうな涙がかろうじて縁に溜まっていた。
 好きな人がいるのだ、と分った。黙って頷き言われるままに筆を走らせたのだった。おそらくは内密に小女にでも託したのだろう。文はどのような手違いかは分らないが路上に落ちて恋しい人の元へは届かずじまいだったのが、思いが通じたのか、迷いながらも左衛門の手元に届いたのだった。