花冷え | ryo's happy days

ryo's happy days

思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

今日は何の予定もない日。最近の腰痛が日を追う」ごとに悪化しているようで
でも、歩かないと歩けなくなりそうで..。ということで一人ぶらりと外出を
決めた。歩けなくなったらタクシーで帰ってこよう。
花冷えに一輪の赤励まされ
連載小説「CALL」38
「いや、私も定年になって、もう会社とも縁が切れますけん、言わせてもらいますけどね」
「はぁ…」
「西田さんは会社を辞める半年前から、実は仕事は全くなかったとです」
「えっ、と言いますと…。ちょっと待ってください。主人は毎日弁当ば持って仕事に行ってましたけど」
「コンピューターが導入されてから、私たちの仕事はのうなりました。私は口が達者ということで営業にまわされましたからね、まだ潰しが利いたとですよ。でも西田さんは技術畑でコンピューターの出来んならどうしようもなかったとですよ。西田さんの自慢の腕の振るい場所は若い技術屋に乗っ取られて、西田さんは毎日が、ただ弁当を食べに来るだけが仕事でですね、それでとうとう自分から辞められたとですよ。体のいい首切りです。まぁ、今でいうところのリストラですたい」
 初めて聞く話だった。恒男は辞めるとき美佐には、会社に惜しまれながら辞めるようなことを言っていたのだ。真面目で仕事一途の人だった。あの人から仕事を取ったら何も残らないほど仕事には情熱を持っていたのに、どうして辞めるのか不思議でならず、幾ら問いただしても、疲れた。としか言わないものだから、最後は、単なる我が儘かと思ってしまったのだった。

 河合が帰った後、暫くぼおっとしていた。
「会社から、毎日毎日、給料泥棒まがいの皮肉言われてですねぇ、端で聞いておっても腹立たしかったですもん、あれだけ嫌味言われたら、そりゃぁ、おられませんよ」