草萌ゆる | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

何の予定もない日。梅が満開のいつもの公園をウオーキングした。最近は腰痛で5000歩未満でも帰りは這々の態、帰宅したらしばらくはソファに座って動けない。最近書いていた小説が気に入らず12〜3枚書いたところでどうしても愛着が湧かず破棄したが、ウオーキング中にちょっとひらめいている。忘れないうちに書き留めなければ...。記憶が危うい。
草萌えてふるさとの歌口ずさむ
連載小説「CALL」35
「美佐ちゃん、あんたが近藤さんに捨てられて自暴自棄になってることは分かったけど、そのいたずら電話というのはいったい何のこと?」
「…ここ、半年くらい、毎晩…」
「私はそんなことはしてないよ。あんたが旦那を亡くして家に引きこもってたとき、なんとかしてやりたいと思うて近藤さんのことをダシにしたのは確かに私よ。でもね、あんたがこれほど深入りするとは正直思わんやった。あんたねぇ、もう八月ばい。今年は旦那の初盆じゃなかね。ちったぁ、目ば覚ましんしゃい。その電話ていうのは、もしかしたらあの世から旦那がかけてきようとかもしれんばい」
 背筋がずぅうんとした。
「ま、よかたい、もう遅いけん寝らんね。明日は非番やろ、ゆっくり頭ば冷やし」
 和恵の電話が切れても、そのままへたりこんでいた。和恵に言われるまですっかり忘れていたのだった。恒男の初盆…。言いようのない後悔とも懺悔とも自己嫌悪ともしれぬごちゃまぜの感情が胸に渦巻いていた。
 雨が振り切らぬ暑さが夜の帳を湿らせ体中をじっとりと締め付ける。…あの人があの世から…、今もこのぶざまな姿を上から見ているのかもしれない。そぉっと白い天井の隅を見上げた。まさか…。